ワンルームマンション投資の「気になるリスク」とその「対処法」まとめ

どんな投資にも「リスク」はつきものです。ワンルームマンション投資を検討している人にとって、あるいは既に始めている人にとって、そこにどんなリスクが潜んでいるのか、とても気になるところではないでしょうか。

そこで今回はワンルームマンション投資で考えられるリスクや、多くの人が気になるリスクを計20個挙げ、その危険度と対処法を紹介します。リスクはその実体をきちんとつかむことで、危険性や恐れをグッと軽減させられます。ぜひあなたの気になるリスク項目をチェックしてみてください。

当記事だけで充分に概要がつかめる構成になっていますが、各項目の最後に関連記事のリンクも挙げましたので、より詳しく知りたい場合はそちらもご覧ください。

Part1.物件選びにおけるリスク

不動産投資のリスクの多くが、「物件選び」と紐付いています。ぜひ以下のリスクを念頭に入れ、余計なリスクを極力抑えた物件選びを行いましょう。

1.割高な物件

新築マンションは、ディベロッパーの開発コストが価格に反映されるうえ、まだ入居者が入っていない状態で収益性(賃料)を算出します。したがって中古物件に比べると価格のブレが大きく、相場や実際の投資価値より割高な物件をつかまされる可能性もあります。

そうした割高物件を避けるには、その物件の販売業者に物件価格が相場と比べてどうなのかの資料を示してもらい、検討することが重要になります。ぜひエリアや建物の仕様が類似する物件の資料を複数提示してもらい、じっくり比べてみましょう。想定賃料を検討する際は、入居者が付いていて実際に運用されている類似物件と比べる必要があります。

さらに万全を期すために、自分でSUUMOやHOME’S、Yahoo!不動産などの大手不動産サイトで、対象物件と同じ条件を指定して価格や賃料を見比べてみましょう。

新築ワンルームマンション投資は、入り口=購入価格と想定賃料さえ間違えなければ、あとはほぼ“おまかせ”でまとまった資産を手堅く築き上げることができます。だからこそ、物件価格に関してはしっかりと吟味しましょう。

関連記事:令和元年、不動産投資向けの新築ワンルームマンションは危険?高い? その実態は!?

2.中古物件

中古は新築に比べると物件価格が安く、必然的に運用利回りも毎月のキャッシュフローも、新築に比べて良い数字になりやすいです。その反面、以下のようなデメリットも挙げられます。

  • 建物や設備の修繕費、交換費用など突発的な出費が多い。
  • ローンを完済した頃には、物件が古くなり過ぎて充分な収益を上げられない可能性がある。
  • 中古物件は購入の際にローンを組みにくいため、まとまった自己資金が必要である場合が多い。また、そのために売却の際に買い手が見つかりにくい。

もし目先のキャッシュフローだけにつられて中古を選んでしまうと、「こんなつもりじゃなかった」ということになりかねません。それを避けるには、購入前に投資の「目的」を明確にすることが大切です。もし安い中古を買って5~10年くらい家賃収入を得た後に売却することで、トータル数十万円~数百万円の収益を得るという短期目線の投資を行いたいなら、確かに新築より中古の方が良いです。

反対になるべく手間とリスクを抑えながら物件を持ち続け、数十年後に残債なしの投資用物件という数千万円規模の資産を作ることを目的とするなら、新築の方が明らかに向いています。

ちなみに築数年程度の築浅物件であれば、中古・新築の折衷スタイルで運用できる可能性もありますが、そうした物件は数が少なく、出ればすぐに売れてしまうため、狙って買うのは簡単ではありません。

関連記事:中古ワンルームマンション投資のメリットと、見落とされがちなデメリット

3.地方の物件

東京など大都市で行うのが主流のワンルームマンション投資ですが、一方で地方のワンルームで投資を行うのはどうなのでしょう。

まず1ついえるのは、大都市をのぞき、地方にはワンルームマンションの数がかなり少ないことです。その大きな理由に、地方は単身者比率が東京に比べると圧倒的に低く、ワンルームの賃貸ニーズが低いことが挙げられます。したがってたとえワンルームマンションがあっても、入居率が低かったり、収益性の低さから金融機関でフルローンを組むのが難しかったりします。

それをふまえると、ワンルームマンション投資を行うならやはり東京・大阪・名古屋・福岡など賃貸ニーズの高い大都市とその周辺の物件が現実的となってきます。ただし大阪や名古屋、福岡といっても、将来的に資産価値の大きな下落がまずない場所となると中心地に限られるため、中心地以外の物件を選ぶにはそれなりの土地勘や目利きが必要になるでしょう。

一方東京の場合、23区内であれば将来の大きな資産価値の下落はまず考えられず、どこを選んでもほぼ“安パイ”といえます。そのぶん物件価格が全体的に上がっている面もありますが、最近はまだ価格が上がりきっていない荒川区、練馬区、板橋区といった郊外エリアでも開発が進み出しており、その辺りを狙うのも一手かもしれません。

関連記事:「地方のワンルームマンションで不動産投資」というのはアリ?

4.プレミア価格の物件

ワンルームマンション投資は、前項の通り賃貸ニーズの高い都内の物件を買うのが一つのセオリーです。ただしその際に気をつけたいのが、たとえば港区や中央区、千代田区など都心の一等地にあって“プレミア価格”となっている物件です。たとえば港区の40平米の投資用マンションで、8000万円もの値を付けているようなものですね。

これをフルローンで購入するとなると、月々のローン支払い額は30万円近くになります。最初のうちは賃料30万円でも入居者が付いて成立するかもしれませんが、年数が経って新築トレンドがなくなった時に、賃料を20万円ほどにしないと客付けできなくなる可能性があります。そうなると月々の手出し額は10万円近くになり、賃貸経営を維持することがなかなか難しくなってきます。

こうした状態を避けるには、大きなプレミアが付いた物件には手を出さないことが大切になります。プレミアが付いているかどうかを自分で調べる方法は、不動産サイトで対象物件と同じ条件(エリア・建物仕様など)で検索し、築10年、20年、30年のものの賃料をチェックするのです。それらが対象物件の想定賃料と比べてかなり低いようなら、対象物件は現状で大きなプレミアが付いていると考えられます。

関連記事:物件価格が高騰する今、不動産投資を始めるのは愚行!? 安くなるまで待つべき?

5.デザイナーズ物件

デザイナーズマンションは「高いデザイン性」「おしゃれさ」といった付加価値により、高い賃料を取れたり、高い入居率を確保できたりする可能性があります。ただし、その裏には大きなリスクも抱えています。

たとえば経年劣化によってデザイン性が大きく損なわれたり、尖ったデザインが時代遅れとなったりすることで、将来的に賃料を大きく下げざるを得ない可能性があることです。もともと付加価値が付いていて物件価格が割高なだけに、もし賃料が下がった場合、ローンが大きな負担となります。

またデザイナーズ物件の場合、劣化の目立ちやすいコンクリ打ちっぱなしや、量産型でない建材を使っていることが多く、通常の物件より修繕費がかなりかさむ傾向にあります。

もちろんデザイナーズであることがうまくハマって投資として成功するケースもありますが、デザイナーズ系は運用データが少なく、予測しにくい部分もあります。できるだけ長く安定運用することを目指すワンルームマンション投資においては、あえてデザイナーズ系を選ぶメリットはあまりないのではないでしょうか。

関連記事:不動産投資でデザイナーズマンションを選ぶのってアリ?実は、リスクもけっこうあります

6.集金代行・自己管理

ワンルームマンション投資の運用方法は、「一括借上」と「集金代行」に大きく分けられます。契約期間中、一括借上契約は空室が出ても家賃が保証されますが、賃料の10%ほどの手数料を払う必要があります。対して集金代行は、空室が出ても家賃は保証されませんが、手数料は賃料の3~5%ほどに抑えられるものです。どちらも入居付けや物件管理といった賃貸管理業務を業者に任せられることは共通します。一方、賃貸管理を業者に任せず自分で行う「自己管理」という方法もあります。

都内のワンルームマンションなど、入居率の高い物件であれば、一見集金代行の方がお得に感じますが、賃貸経営をするうえでは最悪の場合も想定しておきたいところ。空室が1~2ヶ月出て家賃収入が止まるのも痛いですが、中には入居者が10ヶ月に渡り家賃を滞納するようなケースもなくはありません。そうなった時、集金代行では賃貸経営を維持できなくなる可能性もあります。

もし空室がほとんど出ない物件を選ぶ目や、空室が出てもローンを数ヶ月は支払える資金的余裕があれば、集金代行や自己管理を選んでキャッシュフローを上げるのもいいでしょう。でもそうでないのであれば、契約期間中は家賃収入がある程度一定になる一括借上のスタイルである、ワンルームマンション投資をファーストチョイスにしてはいかがでしょう。

関連記事:ワンルームマンション投資は「一括借上契約」より「集金代行」の方がお得って本当!?

7.事故物件

過去に死亡事故などが起こった「事故物件」。もしそれを事故物件と知らずに購入してしまったら、あるいは買った後に事故が起こってしまったら、入居者が付かずに大損してしまう!?

結論からいうと、実はワンルームマンション投資においては、基本的に事故物件はそれほど大きなリスクになりません。

まず過去に事故が起こった物件=心理的瑕疵がある物件の場合、売る側は買う側にそれを告知する義務があります。だから事故物件と知らずに買ってしまうことは、ルール上あり得ないのです。また、たとえ同じ建物の他の部屋で事故が起こったとしても、それと知らずに入居する人や、事故を知っても気にせず入居する人が一定数います。

したがって賃貸ニーズの高い都内の市街地で行うワンルームマンション投資であれば、よほど大きな事故でない限り、事故の影響は限定的となるのが普通です。

ただし確率的にはかなり低いものの、物件を買った後に、自室で事故が起こるリスクもあるにはあります。当該物件となると、さすがに賃貸需要が大きく下がる可能性もありますが、普通に一括借上契約であれば、契約期間中は当然ながら空室となっても家賃収入は保証されます。まさにそんな時のための一括借上契約といえるでしょう。

関連記事:不動産投資で「事故物件」と知らずに契約してしまったら、大損する??

8.反社会勢力

ワンルームマンションの中には、部屋の購入者自身が賃貸管理を行う「自主管理」が可能なマンションもあります。そうしたマンションの場合、入居審査が行き届かず、マンション内に反社会勢力の人が入居してしまい、自室の賃貸需要が大きく下がる可能性があります。特に繁華街の物件は、そうしたリスクは高まるでしょう。

このように自主管理が可能なマンションは、「どんな人が入居するかわからない」というリスクにさらされます。それを回避するには、やはり自主管理が可能なマンションは避け、賃貸管理会社がマンション全体をきちんと管理する物件を選ぶことが重要になります。

関連記事:サラリーマン不動産投資で「本当にあった」失敗事例集4選!

9.銀行を欺いての複数物件購入

投資用ワンルームマンションを複数件持つことは、投資効果を増やす有効な手段です。ただしその際、販売業者の営業マンに勧められるままに「銀行を欺いての複数物件同時購入」をしてしまうと、後に大きな不利益を被りかねません。

金融機関から融資を受ける際は当然ながら個人の与信枠が決まっており、1つ物件を買うごとに与信枠は小さくなっていくのが普通です。ところが複数物件をほぼ同時に別々の金融機関に融資申請することで、融資情報が信用情報に記載される前に審査を受けられる場合があります。それにより、本来の与信枠を超えての物件購入が可能になるというわけです。

ただしこれがもし金融機関に発覚した場合、虚偽を働いたとみなされ、規約違反でローンの一括返済を求められる可能性があります。発覚せずとも、自身にとって適切な経営規模を超えることになります。したがってモラル的にも、経営的な観点からも、この手法は決して使うべきではありません。

関連記事:ワンルームマンション投資で複数物件を持つことのメリットと、注意点

Part1.賃貸経営時のリスク

物件を購入した後にも、いくつかのリスクが想定されます。事前に危険度を下げられるものも少なくないので、こちらもぜひチェックしておきましょう。

1.空室が出てしまう

賃貸経営における代表的なリスクといえば、やはり「空室」です。空室が発生すると家賃収入が途絶え、その間のローン支払いは全て自己資金で賄うことになります。

ただし賃貸需要の高い都内のワンルームマンションは、入居率が95%を超えることが一般的で、空室リスクはそれほど高くありません。とはいえ、たとえ95%でも確率的には2年に1回以上は空室が発生することになり、運が悪ければ何ヶ月も空室が続くこともあり得ます。前述の通り、入居者が10ヶ月近く家賃を滞納したというケースも報告されています。

まさにそうしたリスクを回避するために、一括借上があります。一括借上契約であれば空室が発生しようが、家賃が未納だろうが、契約期間中はオーナーに家賃収入が毎月入ります。そのぶん家賃の10%程度の手数料を払う必要がありますが、賃貸運営の継続を脅かすような危機を回避する保険とも考えられるのではないでしょうか。

関連記事:一括借上契約の仕組み

2.不動産投資が職場に発覚してしまう

ワンルームマンション投資で不動産所得が発生した場合、勤務先の人事部などに不動産所得の存在が税務署から通知される可能性があります。副業禁止の会社の場合、それが問題となることはあるのでしょうか。

結論からいうと不動産投資の場合、本業に支障がないものであれば副業・兼業には該当しないという解釈が一般的になっています。そもそも不動産所得は、相続などプライベートな理由でも発生し得るものでもあります。したがって就業規則で副業・兼業禁止が明示されていたとしても、ワンルームマンション投資を数件行う規模であれば、問題となることはまずないでしょう。

副業が公に禁止されている公務員であっても状況は基本的に同じで、「所有する賃貸物件が5棟・10室以内」かつ「賃貸経営の収入が年間500万円未満」であり、「賃貸経営の管理を管理会社に委託する」という条件を満たしていれば、問題になることは基本的にありません。実際、公務員は融資を受けやすいこともあって、ワンルームマンション投資を行う人は非常に多いです。

とはいえ職場により規定は違ってくるので、慎重を期すのであれば、会社に一度問い合わせるのがいいでしょう。

関連記事:現役サラリーマンオーナーが語る!不動産投資を始めると就業規則違反になってしまうのか?

関連記事:公務員で不動産投資をする人が多いリアルな理由

3.ローンが返済できなくなる

ワンルームマンション投資は、毎月の家賃収入によって物件のローンの支払いをまかなうというのが、基本的なビジネルモデルになります。そして都内などの賃貸需要の高いワンルームマンションは、入居率が95%を超えるのが一般的です。したがって、家賃収入が途絶えてローンを返済できなくなるという事態は、そうそう起こらないでしょう。

それでも空室が発生する可能性は決してゼロではないので、一括借上金額の変動、解約リスクはあるものの一括借上契約をお勧めします。都内の物件で一括借上契約の場合、毎月の一括借上額からローン支払い額と管理費・修繕積立金を引いたキャッシュフローは、マイナス1万円ほどになるのが普通。毎月1万円であれば、払えなくなることはそうそうないでしょう。

とはいえ不測の事態でどうしてもローンが支払えなくなった場合は、まず銀行や不動産投資会社の担当者に一刻も早く相談することが重要です。銀行としては残債をなるべく多く回収することが第一なので、いきなり物件を差し押さえたり自己破産を求めたりすることはまずありません。債務者が積立て式保険や有価証券などの金融資産を処分したり、物件を売却したりして資金ができるまで、残債の支払いを一定期間猶予してくれるケースがほとんどではないでしょうか。

関連記事:不動産投資がうまくいかず、ローンを支払えなくなった時にできること

4.万が一のことが起こり、支払い不能になる

「もし自分が死亡した場合、残ったローンの支払いはどうなるの!?」と思う人も少なくないのではないでしょうか。でも、そこはご安心ください。

ローンを組んで物件を買う場合、多くは金融機関から「団体信用生命保険」、通称「団信」への加入を求められます。もしローン返済の途中でローンを組んだ人が死亡したり高度障害となって支払不能になったりした場合、団信から金融機関に残債が全額支払われ、購入者の元には残債なしの物件が残されます。つまり団信は金融機関と不動産オーナー双方を助ける保険制度であり、不動産オーナーにとってはある種の“生命保険”ともなってくれるのです。

関連記事:「不動産投資が生命保険の代わりになる。しかもかなりお得」って本当⁇

5.一括借上額が下がる、一括借上契約が途切れる

一括借上契約は、物件を所有する間はずっと続くものが多いですが、中には一括借上契約が途切れてしまったり、途切れないまでも減額されてしまったりするケースがあります。

その要因の多くは、不動産投資会社が最初に設定した一括借上額が高すぎることにあります。不動産投資会社は、お客に物件を買ってもらうために、相場よりも高い一括借上額を設定する。新築トレンドもあって初めはその金額で運用できても、年数が経つと入居付けが難しくなり、一括借上額の減額や打ち切りをオーナーに打診する。そんな流れです。中には初めから「●年ごとに一括借上契約を更新し、保障額を見直す」と明示された一括借上契約もあります。

一括借上額の減額や打ち切りを避けるには、物件を買う前に「賃料設定が相場と比べて適正かどうか」をチェックすることが重要になります。販売業者に同じような条件の物件がおおよそいくらで貸し出されているのかを複数提示してもらったうえで、自分でも不動産サイトで類似物件がいくらで貸し出されているのかを調べてみましょう。

そうして調べた相場と比べて一括借上額が高すぎる物件は一括借上契約の減額や打ち切りのリスクが高いと判断できますし、逆に相場より低くてもオーナーには損となるので、大きなマイナスポイントとなります。

関連記事:「一括借上契約」ができる限りとぎれないように不動産投資を行う方法は?

6.修繕積立金が大きく値上がりする

区分マンションを購入したオーナーは、建物を将来修繕するための準備金として「修繕積立金」を毎月支払います。ワンルームであれば最初は2000~3000円程度であることも多いですが、将来大きく値上がりする場合もあり、中には20年で2万円近く値上がりするようなケースもあります。それほどの値上がりともなると、運用プランが大きく狂いかねません。

なぜ大幅な値上がりが起きるかというと、修繕積立金を安く設定した方が物件が売れやすいために、販売会社が新築募集時の修繕積立金を低めに設定しがちであることが大きいです。

建物は経年で劣化するため修繕積立金が値上がりするのは仕方ないですが、20年で2万円近くも値上がりするような物件は、できれば避けたいところです。そのためには購入時にマンションに付帯する長期修繕計画書を確認し、修繕積立金がいつ、どのくらい改定される予定なのかを確認することが大切になります。あわせて販売業者に、現状の修繕積立金の金額で、きちんと修繕を賄っていけそうなのかもきちんと確認しておきましょう。

特に修繕積立金の大きな値上がりに気をつけたいのが、戸数が少ない=修繕積立金の徴収源が少ないにも関わらず修繕積立金が安く設定されている物件や、駐車場・駐輪場・広告看板が付いていない=修繕積立金に組み込まれる収益源が少ない物件、あるいは修繕費が高くなりやすいデザイナーズ系の物件です。

関連記事:投資物件の修繕積立金が安くてラッキー♪いえ、もしかするとそれ、キケンかも…

7.節税をやり過ぎる

不動産投資では、不動産経営で発生した赤字金額を課税所得から引くことができるため、実質的な“節税”が行えます。とはいえ一般的なワンルームマンション投資の場合、初年度にまとまった赤字を計上できても、2年目以降は赤字が発生しても少額となるのが普通で、節税できるといってもそれほど大きな額にはなりません。

ところが中には物件を買ってもらいたいがために「物件を持っている間は、トータル●百万円も節税できますよ」などとうたい、確定申告で現実的ではない赤字計上を勧める業者もいます。

確定申告は自己申告なので物理的にはそれも可能ですが、もし税務署から問い合わせが入り、領収書などを提示してきちんと証明できない場合、最大で過去7年分の追加納税+延滞税が課せられます。その金額が数百万円にものぼり、不動産投資が“詰み”となることも十分考えられます。したがって、不正申告は絶対にやめた方がいいでしょう。

また、不動産投資会社が顧客の確定申告を手伝うことも禁止されており、実際に手伝ったことが発覚して業務停止になった会社も複数あります。したがって「確定申告を手伝いますよ」ともちかけてくること自体が、その会社を見切る一つの材料となります。

関連記事:不動産投資の節税プランは、なぜ業者によって変わるのか。実はお得なほどキケン!?

8.物件の売却で損をする

ワンルームマンション投資は基本的に長く物件を持つことで、旨味がより発揮されるビジネスモデルです。とはいえさまざまな事情により、途中で物件を売りたくなる場合もあるでしょう。そこで頭に入れておきたいのが、それ以降に売れば運用収支がプラスになるという「損益分岐点」の存在です。

新築のワンルームマンション投資では購入から15~20年後に損益分岐点を迎えるのが一般的で、損益分岐点より前に売ると運用収支はマイナスとなってしまいます。したがってワンルームマンション投資で損益を出さないためには、やはりある程度長期目線の運用プランを立てることが必要になります。物件価格の安い中古物件であれば、損益分岐点は新築よりも前に訪れます。

関連記事:投資用ワンルームマンションの売却についてぜひ知っておきたい4つのこと

9.物件価値が大きく下がる

「将来、物件の価値が大きく下がったらどうしよう…」と心配になる人も少なくないかもしれません。ワンルームマンションの場合、果たして物件価値はどれくらいまで下がり得るのでしょう。

そこで1つ押さえておきたいのが、物件は建物と土地を合わせて評価されることです。それは戸建てのみならず、マンションにおいても同様です。したがって賃貸需要が一定以上ある都内の物件であれば、たとえ建物がボロボロになったとしても、地価が大きく下がることはまずないので、安くても1000万円は下らないでしょう。特に23区内の市街地の物件であれば、物件価値の下落はより限定的になるはずです。

したがって、現状で賃貸ニーズのきちんとある都内の物件に関していえば、将来的に物件価値が二束三文になる可能性は、まず考えなくて良さそうです。

10.災害で物件が損傷する

「物件が火事や台風、地震などの被害にあったら、どうなる?」というのも、ワンルームマンション投資をするうえで気になるところではないでしょうか。

まず火災の場合、損害の多くは保険でまかなわれます。というのも、オーナーは火災保険への加入をローン会社から必ず求められ、さらには入居者の方でも火災保険に加入するのがごく一般的です。したがってワンルーム丸々1室が、あるいは上下左右の数室もあわせて燃えてしまったという場合でも、それらの保険で被害の多くをカバーできるのが普通です。また廊下などの共用部が被害にあった場合は、管理組合で加入する保険が適用されます。

ちなみにマンションが全焼するような火事は、現代のマンションにおいてはそうそう起こり得ません。

そして火災保険の適用範囲は広く、「台風」で窓が割れたり部屋が浸水したりした場合、さらには「落雷」「ガス漏れなどによる爆発」「水災」「自動車などの衝突」「漏水」などをもカバーしていることが一般的です。

ただし地震や地震による津波被害などは火災保険ではまかなえず、それをカバーするには地震保険に入る必要があります。地震保険は、火災保険の特約として加入できる場合が多いです。とはいえ、実は大きな地震が起きてもマンションが受ける被害は限定的で、近年起きた東日本大震災と熊本地震では、中破以上の被害を受けたマンションは全体の0.1%にも達していません。

このようにワンルームマンション投資では、ほとんどの災害被害を保険でカバーできます。ただ最近は水害の頻度が増しており、たとえ保険が降りるとはいえ災害に遭わないことに越したことはないので、近隣に河川などがあって半地下にあるような部屋は、なるべく避けた方がいいかもしれません。

関連記事:不動産投資で物件が「火事」「台風」「地震」の被害にあったらどうなる!?

11.経営管理を任せた不動産会社の倒産、業務停止

そうあるケースではありませんが、契約した不動産投資会社が業務停止あるいは倒産となり、一括借上契約や賃貸管理が途切れるリスクもないとは言い切れません。

不動産投資会社が業務停止になるケースは先述のように顧客の節税を手伝う行為に加え、もう一つ代表的なのが、販売業者が購入者から手付金を預からないことです。

購入契約の際には、消費者保護の観点から、販売業者は購入者から手付金を預かります。それにもかかわらず販売促進の一環で「手付金は弊社で負担します」や「後でキャッシュバックします」とうたう業者も中には存在します。もしそれが明るみになった場合、業務停止となる可能性もあるので、そうした行為を勧めてくる時点でその業者との取引は控えた方がいいでしょう。

不動産投資会社の倒産を回避するには、「管理戸数」が一定以上ある会社を選ぶことが有効な一手となります。管理戸数とは、不動産投資会社が一括借上契約などを行いながら賃貸管理する戸数のことです。管理戸数を高く積み上げてきた会社は、それだけ不動産の開発力があり、相場を見抜いて適切な物件価格や賃料で運営し続けてきたと判断できます。

管理戸数は会社のホームページに書いてあることもありますし、たとえ書いてなくても営業マンに問い合わせれば教えてくれます。管理戸数が1万戸近くある会社であれば、倒産の心配はかなり低いといえるでしょう。

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