「ワンルームマンション投資」と「自衛隊員」。一見、結びつき辛い両者ですが、実は昔からかなりの数の自衛隊員が、ワンルームマンション投資を行っています。
そもそも仕事として安定性の高い公務員自体、ローン属性の高さからワンルームマンション投資を行う人がとても多いのですが、公務員の中でも自衛隊員はトップレベルに多いでしょう。また興味深いことに自衛隊員でワンルームマンション投資を行う人や、やっていなくともワンルームマンション投資の存在を知る人が、近年明らかに増えている感があります。
なぜ昨今、自衛隊の方々でワンルームマンション投資に目を向ける人が増えているのでしょう? その理由にズバリ迫りました。
まず理由の大きな1つに挙げられるのが、ワンルームマンション投資のビジネスモデルが、自衛官のキャリアシステムによくマッチすることです。意外と知られていませんが、自衛官は幹部クラスを除けば、多くの人が55歳前後で退官します。一般的なサラリーマンに比べると、退職が10年ほど早いわけです。
退官後は再び自衛隊に再雇用されるか、民間企業に再就職するかの2つの進路が主流ですが、どちらにしても現役の自衛官時代より年収は大きく下がるのが普通です。そのぶん退官時には、まとまった退職金と若年給付金(若年定年退職者給付金)がもらえます。
とはいえ何と言っても50代半ばで退職するわけですし、なおかつ「これから新しい知識や技術を身につけるのは一苦労」と感じる人も少なくなく、老後に不安を覚える人が多いようです。
そこで重宝するのが、ワンルームマンション投資なのです。現役時代に毎月1万円程度をコツコツ積み立てることで、ローン完済後には残債なしの投資用ワンルームマンションが手元に残ります。それをそのまま賃貸運用にまわせば、老後に毎月数万円の家賃収入を得られ、賃貸ニーズがそれなりにある物件であれば、年間100万円近くの家賃収入を得ることも可能です。
そのようにして“私的年金”を設けることで老後の不安を解消するというのが、自衛官がワンルームマンション投資を選ぶ最大の動機になっているようです。
ちなみに自衛官はキャリア組と叩き上げ組に分かれますが、特に高校を卒業し下積みから努力を重ね実力をつけていった、いわゆる叩き上げの方々は、ワンルームマンション投資の「生命保険効果」にも魅力を感じる人が多いのです。というのも、叩き上げ組の方々は義務教育を終えた後に地元に定着し、早めに結婚して家族を作る人が少なくありません。要は、安定的な生活収入を得られる代わりに、大手企業の年収の7〜8割の水準になることが多い中で妻子を抱えるため、万が一のことが起きた時の不安を感じる人が多いのです。
そこで、手頃な掛け金でそれなりに大きな保障を得られる掛け捨て型生命保険がよく選ばれますが、掛け捨て型だと60歳くらいで保障が切れてしまうのが一般的です。その場合、掛け金もほとんど戻ってきません。
対してワンルームマンション投資であれば、現役期間中に掛け捨て型生命保険と同等の保険効果を得られるうえ、老後に賃貸経営で収入を得られるので決して“掛け捨て”にはなりません。そんなことから、掛け捨て型生命保険からワンルームマンション投資に切り替えるケースが、自衛官の間でよく見られます。
自衛隊員はローン面で大きなアドバンテージを持つことも、ワンルームマンション投資を選ぶ大きな理由となっています。年収面で一般的な会社員ではフルローンが難しくても、自衛隊員であればローンの組める水準幅が広いのでフルローンが組めることが少なくありません。これは公務員全般に言えることですが、それだけ金融機関は自衛隊員のことを「信用性や安定性の高い仕事」とみなしているのです。
したがってそうしたステータスの高さを存分に活かすこと、要はフルローンを組んで元手をほとんどかけずに老後の資産形成をしないのはもったいないと思う人が多いようです。逆に、そうした自衛隊員が持つアドバンテージをよく知らず、不動産営業マンからそれを知らされて驚く自衛隊員もよく見られます。
ちなみに自衛官のうちワンルームマンション投資でフルローンを組めるのは勤続3年以上で、「2曹」の階級以上、そして年収は400万円後半くらいからと言われます。ただ、目安となる階級や年収は、金融機関によって多少変わります。
また一般の人にはちょっと意外に感じるのが、陸上・海上・航空の3つの自衛隊で、海上自衛隊員だけローンが少し通りにくいことです。
海上自衛隊員は船に乗って何ヶ月か不在になることがあり、金融機関にとってはその間にローンが未払いになったり、連絡が取れなくなったりしては困るという意識があります。したがって、特に独身者の海上自衛隊員に対しては、ローン審査が厳しくなる傾向があります。一方海上自衛隊員でも既婚者であれば、乗船中も金融機関は家族と連絡が取れるため、ローンは通りやすいと言われます。
さて、近年自衛隊員でワンルームマンション投資をする人が増えているのにはもう1つ、意外な理由があります。それは、自衛隊員の間で資産形成のリテラシーが高まっていることです。
どういうことかというと、近年はよく自衛隊の内部で、ライフプランセミナーのような講習が隊員向けに行われています。前述のように自衛隊員は退官年齢が早いこともあり、退官後の生活に向けてきちんとマネープランを描くべきといった教育が、近年進んでいるようなのです。
背景の一つに、年金の一元化があります。これまで公務員が利用していた共済年金が、2015年より厚生年金に一元化され、これにより公務員が将来受け取る年金額が実質的に少なくなりました。これもあり、「今後は年金だけでは豊かな老後を送れない可能性がある」という啓蒙とあわせ、「老後の蓄えにならない掛け捨て型保険に入っていても意味がない」といったことも、もしかすると伝えられているのかもしれません。
こうして自衛隊員の間で資産形成のリテラシーが高まったことにともない、ワンルームマンション投資にメリットを感じる人もより増えたのではないでしょうか。実際にワンルームマンション投資を始めた自衛隊員からは、上記のような話がよく聞かれます。
以上、今回は「自衛隊員でなぜワンルームマンション投資をする人が多いのか」を掘り下げました。自衛隊員とワンルームマンション投資の意外な相性の良さが、ご理解いただけたのではないでしょうか。
他にも公務員とワンルームマンション投資に関する記事や、地方公務員とワンルームマンション投資に関する記事もあるので、気になる方はそちらもあわせてどうぞ。
*なぜ多くの「地方公務員」がワンルームマンション投資をするのか!?