不動産投資をする人の多くが、ローンを組んで物件を購入します。実際に弊社でも、ほぼ全てのお客さまが金融機関から借り入れをし、ローンを組んで投資用物件を購入します。
だから不動産投資では、ローンの金利の高低が肝となってきます。もちろん金利は安いに越したことはありません。とはいえ「金利は選べるものではないのでは?」「金融機関で金利にたいして差はないのでは?」とも思うかもしれません。
でも結論から申し上げますと、不動産投資のローンの金利は、金融機関によってかなり変わってきます。また、金融機関を選ぶこともできます。ただ、そこには売り手側の“事情”が存分に絡んでくるので、注意が必要です。そのカラクリをお教えしましょう。
不動産投資ローンを組める金融機関は限られている
そもそも、自宅用に家を買ったことがある方でしたら、不動産投資のローンの金利はずいぶん高いなと感じるかもしれません。それもそのはずです。ローンには、居住用に家を購入する際に利用できる「住宅ローン」と、投資用に不動産を買う際に利用する「事業用ローン」の2つがあり、両者で金利も変わってきます。一般的に住宅ローンが0.5%前後であるのに対し、事業用ローンの金利は1%台後半~3%台です。
なぜこれほど違うかというと、入居用の住宅は生活に欠かせないもので、金利が高いと多くの人が家を買えなくなってしまう。だから金利が低めに設定されています。対して投資用の不動産は余剰資金で買う贅沢品という考え方が一般的で、金利は高めに設定されているのです。
そして融資を行う金融機関も変わってきます。住宅ローンはメガバンクや信用金庫、地銀で組めますが、そうした金融機関は事業用ローンの方は積極的に扱っておらず、事業用ローンのパッケージ商品もありません。だから不動産投資用の融資を申し込むと、全て案件ごとの個別審査となり、結果的に相当額の頭金が必要になったり、そもそも審査で難色を示されることが多い。だから不動産投資の販売会社は、そうした金融機関のローンは基本的に提案しません。
では事業用ローンはどこで組めばいいのか。事業用ローンをパッケージ商品として取り扱う金融機関やノンバンクはある程度限られてきます。
以下がそのリストになります。
- オリックス銀行、ジャックス
- SBJ
- セゾン
- 楽天銀行
- 東京スター銀行
- 西京銀行
- ダイヤモンドアセットファイナンス
- リコーリース、イオン住宅ローンサービス
- 香川銀行
- 関西未来銀行
- スルガ銀行
- 東日本銀行
- りそな銀行
- 三井住友トラストL&F
これらの金融機関によって事業用ローンの金利はかなりまちまちです。そして実は、販売会社の営業マンが提案するローンのプランは、販売会社やその時の状況によって変わってきます。果たしてそれはどのように決まるのでしょう?
営業マンが高い金利のプランを提案するワケ
これはあまり公にはされにくい話かもしれませんが、結論から言ってしまうと、お客さまが提案される事業用ローンは一般的に、販売会社と金融機関の関係性によって決まってきます。なぜならその両者は「切っても切れない関係」にあるからです。
冒頭でも申しましたが、投資用の不動産を買う人のほとんどがローンを組みます。だから販売会社にとっては、銀行から融資が下りない限りは不動産が売れない。そのためローンが組めるか組めないかが死活問題になってくるのです。だから付き合いのある金融機関から頼まれれば、その金融機関を優先する場合もある。そもそも販売会社と提携先金融機関の間には、ローン数の目標数値が共有されていることが一般的です。
そうした事情により、販売会社は金融機関との関係性を重視して金利の高いプランを提案することも出てくるわけです。また、そこには物件引き渡しまでのリードタイムも絡んできます。
これも一般にはあまり知られていませんが、低金利のローンプランだと物件の引き渡しまでのリードタイムが長くかかり、逆に高金利のものだと短期間で済む傾向があります。たとえばいま事業用ローンの金利が1.64%のソニー銀行(2019年9月現在)は、融資実行までに3週間~1ヶ月ほどかかります。対して労働金庫など金利が2%台のところなら、それが1週間で済みます。だから営業マンによっては、営業成績の月締めに間に合わせるべく、金利は高いけどリードタイムが短いプランを提案するということにもなるわけです。
当然ながら、そうした理由はあくまで売り手側の事情です。だからローンを組む際は、パッと提案された事業用ローンの内容が果たして適正なのかを、きちんと吟味することがとても重要になります。中には「事業用ローンはそんなものなんです」などと言って押し切ろうとする営業マンもいるので要注意。本来は安い金利を選べる背景を持っているのに、提案されるままに高い金利を鵜呑みにするというのはもったいなすぎます!
各ローンプランの金利とオプションを比較しましょう
ではどうすれば、お得な金利でローンを組めるのでしょう? 実はやっていただきたいことが一つあります。それは、販売会社に融資の可能性がある金融機関の比較シュミレーションをしてほしいと頼むことです。その中から一番いい条件のものを選ぶわけです。
その際は、もちろん金利の低さが一番のポイントになりますが、数字にあまり差がない場合は、保険などの付帯オプションの内容も比べたいところです。たとえば事業用ローンの金利が1.65%のイオン銀行(2019年9月現在)は、イオン銀行に口座を開設し、そこからローンの引き落としをかけるという条件が付きます。そういった細かな付帯事項も金融機関によって様々なので、選ぶ前に概要をつかんでおきましょう。
販売会社の私が言うのもナンですが、大切なのは、提案された金利を鵜呑みのするのではなく、問題意識を持つことです。そして必要な情報をきちんと取り、比較検討したうえで、ローンを申し込む。その結果、お客様が満足な条件と気持ちで不動産経営を始められるのであれば、我々にとっても非常に喜ばしいことです。