ワンルームマンション投資業界ではかなり“あるある”ですが、実は新人営業マンが初契約を結ぶ相手は、「公務員」であることが非常に多いのです。公務員とは、教職員・自衛官・役所職員・消防官といった方々のこと。
なぜ公務員の方と初契約するケースが多いかというと、一つには「電話がかけやすい」ことがあります。学校や役所、自衛隊駐屯地等々、公務員の“職場”の連絡先は基本的に公になっていて、ツテがなくても電話できるからです。加えて、そもそも公務員の方々が金融機関のローン審査に通りやすい、つまりはワンルームマンション投資を始めやすいことも、理由の一つに挙げられます。
したがって営業マンの最初の契約先としてだけでなく、ワンルームマンション投資業界全体を通しても、顧客における公務員の割合はかなり高いでしょう。正確な統計はありませんが、もしかするとワンルームマンション投資を行う人の4〜5割が、公務員の方々かもしれません。
そんな事情から、当ブログでは以前にも「公務員で不動産投資をする人が多いリアルな理由」という記事を書きました。
今回はそんな公務員の中でも、よりワンルームマンション投資と相性が良い「地方公務員」をフィーチャー。多くの地方公務員がワンルームマンション投資を行う背景を紹介します。
まず紹介したいのが、実際にどのようにして地方公務員の方々が、ワンルームマンション投資の契約に至るかです。多くの場合、営業マンはまず学校・自衛隊駐屯地・役所といった公務員の職場に電話をかけます。相手の名前がわからなくても、「教頭先生はいらっしゃいますか」「係長をお願いします」などと伝えることで、取り次いでもらえることが少なくありません。
そうして先方が電話に出たら、電話口で「こんな商品を紹介しています」「つきましては資料をお送りしたいので、送り先を教えてください」などと伝えます。送り先は職場の場合もあれば、自宅の住所を教えてもらえることもあります。そして後日、送った資料を見てもらいながら先方の資産状況や課題、将来展望などを聞き、商談を進めていくのです。
そうして2~3回くらい電話商談を行った後、話がまとまれば実際に先方のいる場所まで出向いて契約を交わします。これが不動産投資営業マンが地方公務員の方と契約する際の一般的なパターンとなります。
それにしても、なぜそうして契約を結ぶ公務員の方が多いのでしょう? その背景として何より大きいのが、地方公務員は「年収は高くない反面、“ステータス”という大きな資産がある」ことです。
以下の表の通り、一般的に地方公務員の方々の年収は、決して高いわけではありません。
職業 | 年収 |
警察官 | 約700万円 |
小中学校教師 | 約600〜700万円 |
高校教師 | 約600〜700万円 |
一般行政職 | 約500〜600万円 |
消防士 | 約600〜700万円 |
公務員薬剤師 | 約600万円 |
看護師 | 約500〜600万円 |
公立病院の医師 | 約1500万円 |
地方公務員全体年収 | 約650万円 |
公立病院の医師などを除くと、地方公務員の年収はおおよそ600~700万円ほどで、学校の校長や役所の長となっても、年収は1000万円に達しないことがほとんどです。したがって、大きな資産を築くのはなかなか難しかったりします。
少し前に政府から「老後を過ごすには、1人あたり2000万円以上が必要」という話が出ましたが、もし地方公務員で養う家族や子どもがいる場合、1人2000万円・夫婦で4000万円以上の資産を築くのは、なかなか簡単ではないでしょう。
したがって、それなりに効率のよい資産形成術を、多くの人が求めています。いろいろな投資商品を見て検討もするでしょうが、やはり株式投資や高利回りの不動産投資など、大きな原資が必要なものはあまり選ばれません。そこで一つの解として選ばれるのが、ワンルームマンション投資なのです。
ワンルームマンション投資ならフルローンを組めるため、始めるのにほとんど自己資金が必要ありません。また、毎月の手出し金も1万円程度に収まります。そうして毎月コツコツお金を積み立てた後、ローンを完済したあかつきには、残債なしのワンルームが資産として手元に残る。以降はそれにより、毎月数万円の家賃収入を得られます。それなりに立地の良い物件なら、年間100万円近くの家賃収入を得ることも可能でしょう。
要はワンルームマンション投資であれば、「安定性の高い地方公務員」という高い属性にレバレッジ(テコ)を利かせることで、原資をほとんどかけることなく老後資産を形成できる。これこそが、多くの地方公務員の方々がワンルームマンション投資を行う、最大の理由でしょう。
また、どんな場所に住んでいても行える点も、ワンルームマンション投資が地方公務員にフィットする理由です。職業柄、僻地と呼ばれるような場所であっても、たいてい公務員の方がいらっしゃいます。ワンルームマンション投資であれば、賃貸管理や建物管理を管理会社に全て任せられるので、僻地であっても問題なく不動産投資を行えます。
したがってワンルームマンション投資の営業マンは、契約のために日本各地を巡る人が少なくありません。時には契約に赴く場所が日本の東の果てであったり、降り立った場所が木造の飛行場だったりもします。喫茶店など適当な打合せ場所が周囲になく、スーパー銭湯のロビーで契約書を広げて契約を交わすこともあります。
ちなみに、公務員に限りなく近いある職業の方々も、ワンルームマンション投資を行う人が非常に多かったりします。「郵便局員」です。郵政民営化により現在は“みなし公務員”という立場ですが、そのローン属性は公務員並みに高いものがあります。民間企業の場合、従業員が数名の会社規模だとかなりローンは厳しいものですが、郵便局員なら局員がほんの数名であっても、問題なくローンが通ることが多いです。
またかんぽ生命があることもあって、郵便局員の多くは保険リテラシーが高く、実際に自身もかんぽ生命をはじめ掛け捨て型の保険に入っているケースが少なくありません。そこではまりやすいのが、ワンルームマンション投資です。
ワンルームマンション投資であれば毎月1万円程度の支払いで、掛け捨て型保険と同等の生命保険効果を得られるうえ、ローン完済後にはワンルームが資産として残るため、決して“掛け捨て”にはなりません。したがって、掛け捨て型の保険からワンルームマンション投資にそっくり切り替えるケースがよく見られます。
営業電話に関しても、営業マンにとって郵便局は、学校や役所よりさらにかけやすかったりします。学校や役所だと、投資の話をするのがはばかられるのか、きつい対応をされることも少なくありません。一方で郵便局員の場合、投資の話がそれほどはばかられなかったり、時間がゆったりしていたりすることから、比較的優しく対応されることが多いのです。
以上今回は、地方公務員でワンルームマンション投資をする人が多い理由を、契約現場の目線から紹介しました。公務員以外でも、地方に住んでいる方や、元手をかけずに老後資産を残したい方の参考になれば幸いです。