NAVIVA ナビバ - 不動産投資裏事情

路上で突然「名刺交換してください」。不動産投資の営業マンは、なぜそんな昭和なスタイル!?

作成者: NAVIVA運営部|2019年12月24日

突然の路上営業の多くは不動産投資の営業

路上で突然スーツの若者が近づいてきて、「すいません、名刺交換してください!」「新人研修の一環で、名刺を100枚もらわないといけないんです!」。

こんな光景を一度は見たことがあるのではないでしょうか。実はあれ、多くが不動産投資会社の営業マンなんです。

その目的は、投資用不動産を販売する商談のアポイントを取ることにあります。路上営業で「一度、お電話してもいいですか?」と約束をとりつけ、その当日や翌日に電話をかける。そして電話で簡単に不動産投資の話をし、後日行う商談のアポイントにこぎつけるというのがオーソドックスな手法です。路上でいきなり商談のアポを取れればベストですが、いきなりそこまで切り込むと引かれることも多いので、段階を踏むのです。

とはいえ、これだけテクノロジーが発達した時代に、なぜそんなアナログなことをするのでしょう??それを解くカギは、不動産投資会社の営業の柱である電話営業の過酷さにあります。

不動産投資会社の駆け出し営業マンは、まずはこの電話営業がメインの営業法となります。1日にかける電話の件数は、おおよそ100件。多い会社だと300件にものぼります。月間にすると2000件くらい、年間だと2万件くらいにはなるでしょう。

では、それだけ電話して何件くらい契約が決まるのか?

電話を2万件かけて契約1~2件という世界

まず、1日100件電話しても、目当ての相手と話せるのは20人くらいです。当人が不在であったり打合せ中であったり、そもそも営業電話は取り次がないことにしている会社も少なくないからです。

そして直接話せた約20人のうち、ある程度話を聞いてくれたり名前を覚えてくれたりと“脈”を感じられるのが、だいたい1人くらい。1日に1人だから、1週間で5人くらい。で、そのうち商談のアポをとれるのが1人くらい。だから1週間で1人くらい、月間4~5件の商談アポが取れることになります。でも、その中にはあまり乗り気じゃない人もいるのでドタキャンも少なくなく、実際に商談を行うのは月間2~3件になってきます。入社して1年経って1件も契約をとれない営業マンもいます。つまり、1件契約をとる裏で天文学的な数の電話営業をしているというわけです。
※不動産投資営業マンの営業手法に関しては、「なぜ20代のサラリーマンに不動産投資の営業電話をかけるのか!?」を参照ください。

ただし実績を積んだ営業マンであれば、こんなに営業電話をかけることはまずありません。なぜなら、電話をしなくても契約が取れる仕組みを構築しているからです。

契約してくれた相手とは、契約後も電話を中心に何年もお付き合いします。そうするうちに信頼を得て、知り合いを紹介してもらえるようになります。そしてその知り合いとも契約し、そこからまた別の知り合いを紹介してもらえるようになります。こうしてだんだん自分の“コミュニティ”のようなものが育ってきて、契約を量産できるようになるのです。営業マンはみんなそこを目指してがんばります。でも、そこにいくまでがなかなか大変な仕事なんです。

意外にも、路上営業の方がアポに繋がる

ではそんな中なぜ、アナログで昭和気質な「路上営業」をあえてするのでしょう。電話営業よりもさらに営業効率が悪そうな気がします。もしや、精神を鍛え上げるための修行??

いえいえ。答えはズバリ、路上営業の方が効率がいいからです。そのカラクリを説明しましょう。

まず、1~2時間くらい路上に出てがんばれば、10数枚は名刺を交換できます。そして会社に戻って電話をかければ、そのうち1件くらいは商談のアポが取れるもの。つまり、電話営業を1日中かけ続けるより少ない時間で商談のアポを取れるんです。

なぜそうなるかというと、やっぱり対面で一度会っているというのが大きな要因です。人は全く知らない人間からいきなり電話がかかってきたら、つい身構えてしまったり、冷たくあしらいがちです。でも一度会ったことのある相手であれば、「この前のあいつね」とイメージできるので、親密感を覚えやすくあまり無碍には扱えないもの。「なんかがんばっているみたいだし、一度時間を作ってあげるか」という気持ちにもなりやすいのです。

また電話営業だと「けっこうです」と断られ電話を切られたらそれでおしまいですが、対面営業ならちょっと断られても「一瞬だけホームページを見てもらえますか?」「名刺が難しければLINE交換はいかがでしょう?」などと、相手の反応に合わせていろいろな手を繰り出せます。そもそもが路上でいきなり話しかけられて対応してくれるような人なので、人当たりがよかったり根本的にいい人であることが多いんです。

とはいえ路上営業を四六時中やるのは、さすがにキツイものがあります。だから、手っ取り早くアポが欲しい時に重点的に路上営業に出る。たとえば「今週のアポのノルマが2件足りないけど、もう木曜日……」といった状況なら、木曜の朝から夕方まで路上営業に出て、まずは名刺を50枚くらい集める。そして翌金曜日にまとめて電話し、商談アポを2件くらいとって帳尻を合わせる。要は路上営業は、営業活動にブーストをかける役割も担っているんです。

営業マンの誠実さを計る“リトマス試験紙”に

ちなみに路上営業で営業マンは、ローンが組みやすい優良企業の人に話しかけたいので、スーツの社章に目を光らせます。自然と周辺の主だった会社の社章はだいたい覚えています。他にも身なりがある程度しっかりしている人や、セキュリティカードを首からかけている人(セキュリティカードがある=規模の大きな会社の可能性が高い)、そしてなるべく話しかけやすい雰囲気の人を狙う。立ち止まってスマホを見ている人も話しかけやすいですね。

投資をするつもりのない人にとって、不動産投資の営業は迷惑千万かもしれません。でも、意外なメリットもあるんです。商談で営業マンはたいてい、不動産投資の話をする前にお客さんの保険や年金、投資などの状況と将来展望をヒヤリングし、分析・検討します。だから不動産投資を始めずとも、自分の今のファイナンス状況を客観的につかむいい機会になるんです。

でも中には、「ルール違反」の路上営業マンもいます。たとえば「新人研修で名刺100枚交換しないと帰れないんです!」などと言って名刺をもらい、後から電話をかけてくるパターン。あるいは「アンケートにお答えください」と頼んで連絡先も一緒に書いてもらい、後から電話するパターン。

電話をするのであれば、「電話をかけてもよろしいですか?」と路上営業の段階で了解をとるべきです。それを相手の同情や協力心につけこんで連絡先をうまく引き出し、後から営業の電話をするというのは、仕事としても人としてもルール違反ですよね。

だから営業を受ける側は、そこのやり方を見て「ルールをきちんと守る人かどうか」や「ごまかしをする人かどうか」を判断するのがいいかもしれませんね。路上営業は、営業マンの誠実さをはかる“リトマス試験紙”にもなるというわけです。