賃貸経営の中で発生しうる突発的な出費は様々ですが、その中でも比較的頻度が高く、ある程度発生が予想される出費も多くあります。特に設備関連の故障は事前の発生が想定できるため、万が一発生した場合の対策も事前に打っておくことが可能です。
突発的故障は、一旦発生してしまうと修繕が最優先となるため、時間の都合上、値切り交渉の余地なく、相場より高値で工事せざるを得ない状況となることもあります。
このような事態を防ぐために、出来る限り多くのことを想定し、突発的な事態が発生した場合にどの程度のコストが発生するのか?という見積もりを取っておくことは安定した賃貸経営をしていく上で重要になります。今回は注意すべき突発的出費とその対策を中心に、お伝えしていきたいと思います。
1棟ワンルーム経営で発生確率の高い突発的出費は?
まず、1棟ワンルーム経営でコストが発生する比較的頻度の高い突発的事象は、給湯器故障、エアコン故障、配管詰まりであると感じています。
給排水管の詰まりについては、費用対効果の観点から定期的な洗浄を行っていないオーナーが大多数のため、つまりが発生した都度対応するというケースが多いのが実情です。
私の場合は、この給排水管の詰まりは、入居直後に発生することが多いです。 新しい入居者が入居したタイミングで、「浴室の水が排水されない」、「トイレの水があふれる」等々、入居者からの連絡があり初めて気付き、その後迅速な対応が求められます。従って、そこで価格交渉をする時間はありません。
次に給湯器故障は、冬の寒い時期に発生することが多いと言われていますが、私の場合は一年を通じて発生しています。給湯器故障についても、入居者から「お湯が出ない」と管理会社に連絡があり初めて気付きますが、特に冬の場合は、お湯が出ないと1日を越せないという方もいるので、当然緊急対応になります。
上記2つは、1棟ワンルーム経営をしていて、恒常的に発生する突発的出費になります。いずれも、緊急対応になってしまうということは容易に想像できるかと思います。
もう1点挙げられるのは、エアコンの故障です。 エアコンについては、季節によっては上記2つのトラブルほど、緊急性はないかもしれませんが、最近は夏の暑さで熱中症になる方が急増しているので、故障したその日の内の交換を要求してくる入居者もいます。
他にも突発的に発生するトラブルはありますが、賃貸経営を10年程度してみて、上記3つは特に発生頻度が高いと感じています。
特にワンルームの場合は、入居者との時間を合わせるのが難しいため、発生した直後に対応することが求められます。そういったことも含め、通常よりも費用がかかってしまうこともあるので注意が必要です。
突発的出費の対策は事前の見積もり精査
こういったトラブルを未然に防ぐことは難しいというのが正直なところです。
しかし、事前に緊急対応の業者と価格交渉することは可能です。 また、現在設置されている給湯器とエアコンの製造年月は機器に印字されていますので、そこから設置年月を特定し、一般的な使用年数から逆算して、故障するタイミングをある程度想定しておくことも可能です。
従って、まずは上記3つのコストを中心に管理会社と事前に打ち合わせをしておくようにしましょう。
エアコンは交換については、電気量販店等で販売されている価格から相場観を持っている方が多いので、異常な高値には気づくことができますが、給湯器については、相場観がない方が多いので、注意が必要です。
具体的にお伝えすると、ワンルームの給湯器交換で10万円以上請求されたら高いと考えてください。私が過去に取引をしていた管理会社は、給湯器交換で17万円必要だとしていました。
しかし、その後給湯器専門業者に相見積もりをとったところ、なんと7万円で交換してくれるとのことでした。このように、管理会社が提示してきた価格には管理会社のマージンがのっています。
そのマージンが多い少ないは管理会社によって様々ですが、上記のように7万円でできることを17万円請求してくるような管理会社も存在し、緊急対応が求められるエアコン交換、給湯器交換、そして配管詰まり対応については、管理会社の言い値になってしまうこともあります。
管理会社の言い値になることを防ぐためにも、事前に相見積もりをとり、最大限削減した突発的事故対応のコスト単価を決めておき、突発的出費を最小限にする努力をしましょう。
大規模修繕のコスト感も把握
大規模修繕のコストは、突発的に発生するものではありませんが、金額が大きいので、事前にコスト感だけでも把握しておくことをおすすめします。
区分のワンルームマンションであれば、月々支払っている修繕積立金の中で、管理組合が修繕計画をたてているので大きな出費が発生する心配はありませんのでご安心を。今後、1棟ワンルームマンションの所有を検討している場合は、修繕計画とそれに必要な資金もオーナー自身で工面しなければならないことを頭の片隅に入れておいてください。
例えば、月30万円の収益があっても、10年後の大規模修繕工事で1,000万円発生することが分かっていれば、余剰資金の貯蓄割合や活用方法も異なってくると思います。
本日お伝えした内容は、事前準備の重要性を説いたものです。 事前準備をするためには、出来る限り多くのトラブルを想定する必要があるので、この記事がその想定をする際のヒントになれば幸いです。