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供給不足?or供給過多? 今後のワンルームマンション供給事情

作成者: NAVIVA運営部|2020年12月10日

都心はマンション建設用地がかなり少なくなっている

近年東京では、ワンルームマンションの対象となる「単身者」(1人暮らしの人)が増え続けています。東京都の統計によると、2000年時点で約40%だった単身者層の割合は、2020年に約48%に増加。さらに2035年には約50%にまで増えると予測しています。加えて高齢者における1人暮らしの割合も増えており、2040年には高齢世帯の約45%が1人暮らしになると見込まれています。

これだけ単身者が増える一方なので、当然ワンルームマンションの需要も年々高まっており、今後一層高まると考えられます。

一方でワンルームマンションの供給状況はというと、中心地に近づけば近づくほど、供給量が足りていないのが現状です。その理由の1つが、ワンルームマンション規制にあります。各区により内容は多少変わりますが、東京23区内では「1戸の面積は25㎡以上である必要がある」「総戸数が20戸以上の場合、40㎡以上の住戸面積の合計が全住戸の1/3以上ある必要がある」といった規制が設けられています。

これはざっくりいえば「地域活動が活性化しない」「ゴミ出しや騒音などトラブルが起こりやすい」「若者世代が増えると税収が下がる」などの観点から、単身者が一定以上増えないようにするための規制です。結果的に、マンションデベロッパーは小回りのきくワンルームを、自由には建設できない形になっています。

そもそも中心部になればなるほど、オフィス利用や商業利用が進み、新築マンションを開発する用地自体が少なくなってきています。それもあって都心部では物件価格が全体的に上がっており、不動産投資をする際の資金的なハードルも高くなっているのです。いま都心で1K・26㎡程度のマンションとなると、4000万円程度することが普通です。4000万円というと、郊外なら1戸建てが建てられる金額です。

上記のような事情により、都心部では新築ワンルームマンションが年々買いにくくなっているのです。

ワンルームマンション開発は郊外に広がりつつある

とはいえ、ワンルームマンション投資がやりにくいかといったら、そういうことでもありません。

その理由の一つに、中古ワンルームマンションの流通量が増えていることが挙げられます。ここ10年ほどで都内のワンルームマンションの物件価格はかなり上がっているので、10~20年くらい前に買った人は、今物件を売るとローンの残債を十分にまかなえる=儲けが出る状態であることが少なくありません。そのため実際に物件を売る人が少なくなく、結果、いま市場には中古物件がそれなりに出回っています。

ただ、今後も物件価格が上がり続けるかどうかはなんともいえません。上がる可能性もあるし、下がる可能性もあるというのが実情です。

もし下がった場合、今のように新築を購入して10年後くらいに売って儲けを出すのは難しくなるでしょう。いわゆる損益分岐点(それ以降に売れば運用益が出るというポイント)が、購入から15年後や20年後に推移していくからです。わざわざ損失を出してまで売る人は多くないので、そうなると中古物件の流通量は下がるでしょう。

ワンルームマンション投資がやりにくくはならないであろう、もう1つの理由は、今後は郊外におけるワンルームマンション開発が間違いなく進むことです。

前述のように都の中心部はワンルームマンションを建てる余地がなくなっているので、まだ土地に余裕のある郊外の方へ開発が移りつつあります。23区内であれば荒川区、足立区、江戸川区、葛飾区など、23区外・都外であれば国分寺、立川、八王子、松戸、柏、浦和、川越、川口、横浜周辺などで、すでに開発が進み出しています。

こういった郊外の物件は、総じて都心より物件価格が安いので、ワンルームマンション投資を始める資金的ハードルは、だいぶ低くなります。一方で、賃料や入居率は都心部より低くなる傾向があるので、物件価格と賃料収入のバランスを見極める必要があります。

afterコロナで、ワンルームの“郊外化”がより進むかも

ちなみに郊外の物件の場合、数年後に土地が大きく値上がりする可能性もあります。

たとえば立川などは、単身者の数が年々増えているという統計もあり、10年前に比べるとワンルームマンションの価格も400~500万円程度上がっています。普通に考えれば、今後もしばらくは上がるのではないでしょうか。もちろん40年後や50年後にどうなっているかを予測するのは難しいですが、少なくとも10年前の都心部の物件と同じように、購入後10年ほどで損益分岐点を迎える可能性は充分にあります。

加えて新型コロナウイルスの影響も、郊外のワンルーム需要を伸ばす可能性があります。ワンルームマンション投資はコロナ禍の影響をあまり受けないビジネスモデルといわれるものの、都心部の物件の一部では、入居率がいくらか下がっているとも伝えられます。

たとえば繁華街の物件であれば、これだけ夜の街の利用客が減っているだけに、水商売系の人の仕事が激減し、住んでいたワンルームマンションを解約するといった事例は少なくないでしょう。大手町などの超都心部では、社員の出張の減少や、リモートワークの増加で、社員用のマンスリーマンションの解約が出始めているといいます。

完全にリモートワーク100%となる会社は少なくても、月1回程度の出社でOKという会社は一定数あるので、そうした会社の社員の中には「わざわざ都会に住まないで、少し郊外に移ろう」と考える人もいるでしょう。そして、そうした働き方がある程度定着すれば、郊外の賃貸ニーズは今より当然上がっていくはずです。

というわけで、以下に結論を挙げましょう。

  • ワンルームマンションの供給事情は、間違いなく都心部では今後供給不足となるが、かわりに中古物件がそれなりに出回り続ける可能性がある。
  • 加えて郊外でのマンション開発が進み、ワンルームマンション業界全体としては、明らかな供給不足にはならなそう。
  • リモートワークの定着や、1人暮らしの高齢者の増加などで、一層ワンルーム需要が伸びる可能性があり、郊外でも充分にワンルームマンション投資が成立する可能性がある。

この先ワンルームマンションの購入を検討する際は、ぜひ上記のことを念頭に入れながら、ご自身にとってベストな選択をしていただければと思います。