不動産投資と聞くと、家賃収入でお金が増えるというイメージが抱く方が多いかと思います。一方、実際に不動産を購入し確定申告を行うと、家賃収入だけでなく、不動産所得と給与所得の相性の良さも感じることができます。
サラリーマン一本で働き続ける方は、毎月自動的に給与収入から源泉所得税と住民税が控除されるため、税務について考える機会は少ないと思いますが、不動産投資を行っていると、毎年確定申告をすることになるので、税金について考える機会が増えます。
今回は、実際に運営しているサラリーマン大家だからこそ感じる給与所得と不動産所得の相性の良さについて、お伝えしていきたいと思います。
不動産所得は赤字でも合算可能
給与所得は総合課税(※)がなされる所得の1つですが、不動産所得も総合課税に分類される所得ということで、給与所得と合算することが可能です。
※個人が1年間に得た所得のすべてを合計し、所得税の税率をかけて所得税額を算出する課税方式
この点、株式投資やFXトレードといった、サラリーマンの副業として挙げられる所得とは異なり、メリットになることが多いです。
具体的に申し上げると、株式投資やFXトレードは、分離課税所得と言われ、同じ所得内の損益通算はできるものの、総合課税所得との合算は出来ません。つまり、仮に株式投資やFXトレードで赤字になったとしても、それを給与所得と合算して、給与所得に対してかかる所得税を減らすことはできません。
また、同じ総合課税所得であっても、仮想通貨等で発生する雑所得のように、赤字の通算は認められない所得もあります。雑所得は黒字だった場合は、給与所得と合算して所得税を支払う必要がありますが、赤字の場合は、給与所得との合算が認められません。
その点、不動産所得は給与所得と合算することができ、赤字でも合算可能なので、富裕層の間では節税対策として利用されることも多くあります。
所得税還付と聞くと、複雑な処理が必要、税務署から目を付けられるかもしれないといったネガティブなイメージを持つ方もいるかもしれません。でも実際は通常通り確定申告を行えば、追加作業なしに自動的に還付される流れになっています。また適切な税務処理の結果、赤字になるのであれば、税務署から目を付けられることもありません。
所得が大きくなればなるほど、税金の話は重要になってきます。不動産所得が赤字になると、給与所得との合算が可能ということを、ぜひ覚えておいていただければと思います。
不動産所得は兼業とみなされにくい所得
分離課税所得として分類されるものは、給与所得とは関係ないため、会社の人事部にその所得があるという通知がいくことはありません。一方、総合課税所得として分類されるものは、所得が発生した場合、会社の人事部に通知がいくことがほとんどです。
とはいえ会社の人事部は、不動産所得であれば相続等プライベートな理由でも発生しうるものであり、不動産所得が発生していることに対して、深く突っ込みを入れる可能性は低いです。
それに対し、事業所得や雑所得は兼業性がある所得のため、毎年どちらかの所得が発生していたり、所得金額が大きい場合は、会社の人事部より所得内容について問い合わせを受ける可能性が相対的に高いといわれます。
兼業の疑いをかけられることを防止するために、会社を設立し、事業所得や雑所得に分類される事業の所得は設立法人で発生させるという方法もありますが、事業がまだ小さい規模であれば、設立費用や設立後の維持費用を考えて躊躇する方が多いかと思います。
このように他の所得と比べると、不動産所得は通常通り確定申告を行っても兼業とみなされにくく、その処理の方法について深く考える必要性が低いという意味で、サラリーマンと相性が良い所得だと感じています。
所得計算はシンプル
最後に不動産所得の税金計算についてですが、不動産の所得計算はシンプルです。
具体的には、以下を合算して、申告するのみです。
- 家賃収入
- 減価償却費
- 支払利息
- 修繕費
- その他雑費
上記の内、減価償却費と支払利息は購入時に決定しているので、その決定した金額を集計するだけです。また、家賃収入については、滞納がない限り、入金された家賃を集計するのみであり、修繕費とその他雑費は支払時に集計することで計算可能です。
これがもし、在庫を保有するビジネスの申告であれば、在庫金額も管理しなければならないため、管理が煩雑になります。
実際に、私の周りの大家仲間でも自分で確定申告をして、自ら税務署に提出している方が数人います。彼らはもともと経理の知識があるわけではなく、簿記の資格保有者でもありません。その事実が不動産所得の申告の容易さをものがたっています。
今回申し上げたような税務面についての認識は、不動産投資を始める前からあったわけではなく、実際に不動産経営をする中で得られたものです。もし、不動産投資と他の副業等で迷っている方がいれば、上記のような税務面のメリットも考慮し、選択することをおすすめします。