給与収入のみの生活になっている方は周りの個人事業主の方と比べるような機会が少ないと思うので自覚はないと思いますが、国は世の中の多くを占めるサラリーマンの収入から確実に税金を徴収できる仕組みを構築しています。
ちなみに、サラリーマン大家は給与収入ありと言えますが、個人事業主でもあるという位置づけです。
一方、マイノリティーである個人事業主へのチェックというのは、サラリーマンへの課税と比較し柔軟性が高いです。そもそも、個人事業主は確定申告が自己申告制の時点でサラリーマンの方とは大きく異なります。
今回は、サラリーマン及び個人事業主の税金についてお伝えしたいと思います。
まず、サラリーマンの給与収入に対する税金の算定方法について簡単に説明します。世間一般で言われている「年収」とは、税引き前の収入のことであり、その金額がまるまる自分の手元に入ってくるわけではありません。
最終的には給与所得の数値となり、給与所得から扶養控除や配偶者控除等が差し引かれ、残った金額に対し各所得帯に応じて設定された累進課税税率をかけた金額が税金として課されます。
給与収入→給与所得への算定では、給与所得控除と呼ばれる、収入帯ごとに設定された一定額が給与収入より差し引かれます。
この給与所得控除は、個人事業主で言えば損金です。給与収入帯ごとに給与所得控除の金額が定められており、国民の税金負担を軽減させるために国が設定している金額です。
損金として参入できる金額があること自体は良いことですが、仮に1年間でサラリーマンとして自己啓発をするために200万円の経費を使ったとしても、ルール上で100万円と決められていれば、原則100万円以上は損金算入することができません。そういった意味で、サラリーマンはルールにがっちりはめられた中で税金が自動的に源泉徴収されていきます。
また、昨今の高齢化社会に伴い、国は税収が足りなくなることから高収入世帯の給与所得控除を減額しています。その結果問答無用に税金が増えるサラリーマンも増えており、今後も国民の税金負担は増えていく可能性が高いと言われています。
一方、個人事業主はサラリーマンと異なり、所得を調整できる柔軟性が相対的に高くなっています。
まずは、上述の通り自己申告制ということです。サラリーマンは、会社を通じて自動的に源泉徴収されるため逃げることができないのに比べ、個人事業主は自己申告制です。この制度の違いから国の会社員に対する対応と個人事業主への対応の違いが分かります。
マイナンバー制度はそういった個人事業主に対する課税強化の意味合いもありますが、現時点ではサラリーマンのように自動的に徴収するという仕組みが構築されておらず、新たな仕組みを構築するにしてもかなりの時間がかかると言われています。
上記に加え、個人事業主は課税を減らすための損金をある程度調整することが可能です。例えば、私であれば不動産投資家として必要な本を購入した場合は、必要経費として雑費処理しますし、不動産業者との良好な関係性維持目的での会食があり私が料金を負担した場合は、それも雑費として処理します。
ちなみに、領収書にはお店の名前と金額しか記載がないことが多いため、経費としての申告は個人事業主のモラルに委ねられる部分もあります。
事業運営に必要な経費か否かというのは個人的な判断が入ってくる部分です。 例えば、上記会食の例にしても、管理会社とのコミュニケーションを円滑化するために事業運営上必要だと考える方もいれば、会食は業務外の会話もあるので、事業運営に必要な経費とは言えないと考える方もいるかもしれません。自分の中で経費として算入する理由、算入しない理由が明確になっており、それが常識範囲内の金額であれば、その申告が認められない可能性は低いと考えています。
サラリーマンと個人事業主の課税の違いをご説明したうえで、ここからは私の私見を述べさせていただきますが、一番安全かつ堅実なのは、サラリーマンをやりながら給与所得と合算できる不動産所得を持つことだと考えています。
税金還付というのは、不動産所得を赤字にして、その赤字不動産所得と給与所得を合算して確定申告することにより、サラリーマン所得に対して課税されている所得税が還付され、その次の年の6月以降1年間の住民税も減税されることを指しています。
私は、サラリーマンは出来る限り続けるべきだと思っています。どんなに不動産所得が大きくなろうとも、サラリーマンの安定収入は捨てがたいものがありますし、社会保険料の一部を会社が負担してくれていることもあり、サラリーマンであることのメリットは大きいです。
ただし、税金だけにスポットをあてると、サラリーマン収入だけに頼った形だと搾取され放題ということになるので、不動産所得という自分である程度調整できる所得を持ち、税金をコントロールできる範囲を広げることは自分のお金を守る堅実な手段の1つだと考えています。
これを機に所得や税金に対する意識を高めていっていただければ幸いです。