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話題の「サブスク型住宅」は、不動産投資に応用できる?

作成者: NAVIVA運営部|2020年12月17日

ここ数年、「サブスク(サブスクリプション)」というワードを聞く機会が、急激に増えました。一般的にサブスクとは、ある商品やサービスを一定期間に、一定額で利用できる仕組みを指します。従来の言葉でいえば「月額課金」や「定額制」などがそれにあたります。もともとは、雑誌の予約講読や年間購読といった意味からきた言葉と言われています。

実はいま住居に関してもサブスクの波がやってきています。一定の月額料金を払うことで、その会社が保有する宿泊施設を好きなだけ利用できる「サブスク型住居」のサービスが盛り上がりつつあります。

では、このサブスク型住居を利用した不動産投資というものは、成立するのでしょうか。成立するとしたら、オーナーはどれほど稼げるのでしょうか。その辺りを今回は検証いたします。

ホテルに連泊するなら、サブスク型住居が格安

まずはサブスク型住居サービスのあらましをザッと紹介しましょう。現在日本にはHafH(ハフ)、OYO LIFE(オヨライフ)、ADDress(アドレス)、Xross house(クロスハウス)、Hostel house(ホステルハウス)などいくつかのサブスク型住居サービスがあります。

その代表的な1つであるHafHは、国内外に戸建てを中心に約450の宿泊拠点を持ちます(※2020年12月現在)。月額料金はひと月に2日までの利用なら3000円、5日までなら1万6000円、10日までなら3万2000円、1ヶ月フルに利用するなら8万2000円といった形で複数のプランを設けています。

会員は基本的にどの宿泊拠点も利用できるので、場所を問わない仕事であれば、拠点を転々と移しながら=旅をしながらの仕事も可能です。また、まとまった出張をする際にも、ホテルに連泊するよりだいぶ安くなり便利です。

一方、オヨライフは都心部を中心に数千規模の物件を所有。物件の内容はマンション、シェアハウス、戸建てなど様々です。

家賃は通常の賃貸で借りるのと同程度か少し割高ですが、敷金・礼金がかかりません。また家電や家具、公共サービスなどの初期費用もかからないため、数ヶ月~1年程度の利用であれば、通常の賃貸より安く住めます。さらにはパートナー企業による家事代行やカーシェア、洋服などのサブスクサービスも利用が可能。“手軽さと利便性を高めた賃貸物件”といったイメージのサービスです。

ざっくり見れば悪いビジネスモデルではなさそう

他にもサブスク型住居は運営会社によりいろいろと特色がありますが、いずれにせよ多くのサービスが敷金・礼金・家電・家具・公共サービスなどの初期費用をかけず定額料金のみで住み始められるのが特徴です。したがってフリーランスやエンジニア、IT系の人など場所を選ばず仕事ができる人、海外からの旅行者や短期滞在者、あるいはリタイアして各地を巡る年配者などが重宝しているようです。

住居の形態は、マンションの1室や一軒家を1組に貸すものから、マンションや一軒家に複数人が住むシェアハウスタイプのもの、さらには1室に数人が寝泊まりするドミトリータイプのものまで様々です。

ミニマリスト的な暮らし方であったり、afterコロナによるテレワークが浸透したりすることで、今後サブスク型住居の需要は一層高まる可能性があります。都会だけでなく、あまり利便性の高くない場所でのサブスク型住宅需要も、おそらく上がるのではないでしょうか。

では不動産投資家は、このサブスク型住居を投資に活かせるのでしょうか。それを考えるには、そのビジネスモデルを押さえる必要があります。前出の大手サブスク型住居サービス・HafHをベースに考えてみましょう。

もし全国に300棟のサブスク住居施設がある場合、1棟に複数の部屋がある物件が少なくないでしょうから、合計部屋数は1000室ほどになるかもしれません。もし会員が1000人で、月額料金が5万5千円であれば、月の売上は5500万円となります。

運営会社と物件オーナーが別で、会社がオーナーから物件を借り上げるスタイルであれば、5500万円÷300棟で、各物件オーナーには1人あたり月18.3万円が入ります。もちろん運営会社の取り分も発生しますが、ざっくり見れば悪いビジネスモデルではなさそうです。特に僻地にあって普通に賃貸に回してもそうそう部屋が埋まらないような物件は、サブスク型住居に転用することで、物件としての収益性が大きく上がるかもしれません。

賃貸需要の低い物件が、サブスクで大化けするかも

現状では個人レベルでサブスク型住宅サービスを展開するのは難しいでしょうが、今後ニーズが高まり、たとえばAirbnb(エアビーアンドビー)のようなプラットフォームをサブスク型住居用にできれば、個人が1棟単位でサブスク住居の経営を行えるようにもなるかもしれません。

そうなると、たとえば僻地のため4万円ほどの家賃でないと埋まらない一軒家でも、サブスク型住居に転用して部屋単位で貸し出せば、月10万円や20万円の収益を上げられる可能性があります。となると、これまでは見向きもされなかったような僻地の物件やボロ家をタダ同然で買い、最低限のリフォームを施してサブスク型住居に回すというビジネスモデルも成立するかもしれません。

ちなみに投資用ワンルームマンションに関していえば、サブスク型住居への転用は現実的ではないでしょう。

基本的に投資用ワンルームマンションは賃貸ニーズが高い場所に建てられているので、普通に賃貸に回すだけでかなりの入居率が見込めます。もっと高い賃料でサブスク型住居に回すとしても、サブスクだけに入居人の入れ替わりが激しくなり、入居率は下がるでしょう。そもそもワンルームマンションは、民泊などへの転用を禁止しているところがほとんどで、サブスクへの転用もマンション規約的には難しいと考えられます。

以上、今回は盛り上がりつつあるサブスク型住居サービスの概要と、その仕組みを不動産投資に活かせるかどうかを考察しました。現状ではまだ個人でのサブスク型住居経営は現実的ではないものの、もし幅広い不動産投資を視野に入れるのであれば、前述のようなビジネスモデルも今後ありうることを念頭に入れておいていいかもしれませんね。