サラリーマン大家が語る、『雪だるまと不動産投資』

投資には様々な種類があり、不動産投資はその中の1つです。『サラリーマン大家』という言葉は今では誰もが知っていると言っていいほどで、不動産投資は一般的にも知られている知名度の高い投資となっています。ですが、株式投資やFX投資と比べ不動産投資経験者は少ないため、正しい情報が伝わらず不動産投資に対して間違った認識を持った方もいるのが事実です。

そんな間違った認識を正すことを目的に、雪だるまと不動産投資のお話をしたいと思います。

不動産投資はコツコツ積み上げていく投資

まず前提として知っておいていただきたいことは、不動産投資は株式投資やFX投資と異なり、一攫千金を得られる可能性が低い投資だということです。

株式投資やFX投資のように、1日で数十%価格が上がるなんてことは不動産ではほぼあり得ません。これは逆に言えば、1日でそこまで大幅に価格が下がることもないということであり、これは不動産の価格が相対的に安定しているからです。

もちろん、10年規模の中長期保有をして、大きな売却益を得られることもあります。しかし、将来上がるか下がるか分からない相場に頼るよりも、目の前の毎月入金される家賃収入を安定させ、毎年の不動産所得を安定させるということに集中した方が確実ですし、その方が結果的に将来の売却価格が上がる可能性も高くなるということもあります。

従って、不動産投資は一攫千金を狙うのではなく、コツコツ収益を上げていく投資という認識を持っていただきたいと個人的には考えています。

不動産投資拡大と雪だるま完成までの類似点

さて、ここまで読んでいただいた方の中には、「それで雪だるまの話とは?」と思っている方もいるのではないでしょうか。不動産投資の規模拡大は、この雪だるま完成までの過程に似ていると言われています。

まず、雪だるまの最初の大きさ及び大きくなるスピードは人それぞれです。また、雪だるまを作るためには、雪の団子を作りそれを転がしていくことによって雪の塊を大きくしていく必要があります。結果、最終的に雪だるまが完成します。

最初の現金保有額が大きいと最初の雪団子が大きくなります。最初の雪団子が大きければ、それだけ転がした時に地面と接する面積が大きくなるわけで、大きくなるスピードは上がります。

つまり、最初の現金保有額が大きいと規模拡大をするにあたって優位になることが出来ます。

しかし、転がすスピードは人それぞれであり、最初の雪団子が小さかったとしても転がすスピードが早ければ最終的に雪だるまがより早く完成することもあります。

サラリーマン大家にとって、この雪だるまを転がすスピードはサラリーマンとしての給与収入を貯蓄出来る力です。

不動産投資自体で儲かっている収入は小さかったとしても、サラリーマンとしての給与収入が多く、それをしっかり貯金できる体質が整っていれば、ゴールに早くたどり着けるということもあり得ます。

雪だるまはある一定の大きさに達すると自ら転がり、勝手に大きくなっていきます。

この規模は人それぞれによって異なるのですが、私の中での基準は1か月の手残りキャッシュフローが50万円を超えたラインです。

例えば、不動産投資開始初期の頃は1か月の手残りキャッシュフローがたった1万円しかなかった場合、次の不動産を取得するための資金のほぼ100%はサラリーマン収入の貯蓄から持ってくるしかありません。

しかし、1か月の手残りキャッシュフローが50万円を超えてくると、サラリーマン収入は生活費に使い、不動産所得には全く手を付けないという環境を整えられれば、最低でも1年で600万円の貯金をすることが出来ます。この貯蓄金額を繰り上げ返済に回して財務体質を改善するのもありですし、次の不動産取得のための頭金として貯蓄するのもありです。

しかし、この50万円のラインまで持っていくには相応の時間がかかります。サラリーマン収入の大小にもよりますが、月々の手残りキャッシュフローを1万円→10万円に持っていく方が、40万円→50万円に持っていくよりも断然時間がかかるという感覚を私は持っています。

このことからも特に初期の頃は、不動産投資とは我慢をする必要がある投資だということを覚えておいていただくと良いでしょう。

転がしていくことが出来れば着実に大きくなっていく、これは不動産投資の良い点だと感じています。貯蓄を着実に行い、不動産をコツコツ増やしていけば着実にキャッシュフローは積み上がっていきます。株式投資やFX投資では、コツコツ貯蓄をしていったお金が一瞬で消えることさえあり得るのを考えると堅実な投資だと考えます。

雪だるまも同じように、転がしていけばどんなに遅いスピードであっても大きくはなっていきます。しかし、転がすことを諦めると最初の雪団子は大きくなっていきません。

世の中には不動産投資家としての成功本が多く出回っています。しかし、著者の知識レベルや収入規模は人それぞれであり、彼らの著書の内容が全ての投資家に言えるということはあり得ません。自分にあてはまる情報は何か?ということを考えながら読み進めていく必要があります。

やるべきことを行い、しっかり貯蓄すべき金額を貯蓄していけば、どんなに時間をかかろうとも不動産から得られるキャッシュは増えていきますので、周りの意見は参考にすべきところは参考にして、自分のペースで着実に雪だるまを完成させる意識を持つようにしましょう。

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現役サラリーマンオーナー・中林準

Jun Corporation代表 中林準。 立教大学卒業。 大学3年次、イギリスへ1年間交換留学後、日商簿記1級、米国公認会計士資格合格。 大学卒業後は、商社の経理部で主に海外事務所・現地法人の管理に携わる。 その傍ら、社会人2年目(2011年)の時に、区分マンション購入から、不動産投資を始め、2018年に1棟マンションを購入する。現在は都内に4区分マンション、1棟マンションを所有している。1年間グロス家賃収入は2000万円。過去に中国駐在経験もあり。CFP、1級ファイナンシャルプラン技能士、宅地建物取引士、管理業務主任者(資格合格)。 2013年9月Jun Corporation設立。若手のサラリーマン・OLを中心にした不動産コンサルティング業務を行っている。