50代で始める不動産投資。ローンは組める?メリットはあるの?

若年層とはローンの審査基準が異なる

少し前に数社の金融機関で、不動産投資ローンの完済年齢が、従来の79歳から「84歳」に引き上げられました。つまり不動産投資を行う人は、最高で84歳までのローンを組めるようになったのです。また最近は企業の定年年齢も伸びていて、70歳まで働ける会社も出てきています。日本人の長寿化を背景とするこうした動きにともない、50代以降の人でも不動産投資ローンが通りやすくなっています。

とはいえ不動産投資でフルローンを組むなら、おおよそ55歳くらいまでが目安となるでしょう。それより上の年齢になると、頭金の支払いを求められるのが一般的です。

では、もし50代でローンを組むとしたら、どのような審査基準となるのでしょう。まずは「他に借り入れがどれくらいあるか」を見られるのは他の世代と変わりませんが、50代ならではといえるのが、定年後にどれだけ「返済余力」があるかです。もし65~70歳くらいまで働けるとしても、定年後は収入が大きく減るのが普通なので、定年後もローンをきちんと返済できそうかどうかがカギになります。

たとえば52歳で年収500万円の人が、3000万円の投資用ワンルームマンションのローンを組むとします。定年を65歳とすると、働けるのはあと13年ほどです。となると、定年時に2000万円くらいのローンが残る。このケースでは、退職金をふまえても定年後にローンを完済できない可能性があると判断され、融資が下りないことが一般的でしょう。

50代のローン審査ではステータスが求められる

では、52歳で大企業クラスの年収1千万円の人であればどうでしょう。こちらは定年までにまだ1億円以上を稼ぐことができ、返済余力は充分にあると見なされます。しかもそういう人は往々にして、退職金も年金も多いもの。加えて、他の企業に再就職する可能性も高いと金融機関は見なすでしょう。だからこのケースであれば、ローン審査にはまず通ると考えられます。

実際のところは、再就職できるかどうかなんて、正確に知り得るものではありません。そんななか金融機関は、たとえば「キャリア組と呼ばれステータスの高い人は、天下りするケースが多い」など、おおまかな傾向を見立てながら審査しています。他にも、中小企業で50代まで勤め上げた年収500~600万円クラスの人の場合、再雇用される可能性は高くないだろう、などと見立てたりもします。

このように50代のローン審査では、明確な基準ではない“ステータス”が重視されるのが一般的なんです。

したがって、20~40代であれば圧倒的にローンが組みやすい「公務員」でも、50代の年収500~600万円クラスの公務員となると難しくなってきます。そこが若年層と大きく違うところです。一方、50代でも若年層でも基本的に変わらないのが、年収が高くてもベンチャー企業社員や自営業者、非正社員だとローンが非常に組みにくい点です。

いずれにしても金融機関が憂慮するのは、定年後にローンの支払いがままならなくなり、物件が差し押さえになってしまうようなケースです。実際、そうした事案も稀に見られます。

たとえば退職金を自宅のローンの繰り上げ返済に充てる、あるいは子供の進学や結婚でまとまったお金が必要になるなどで、定年後に大きな支出が重なってしまった。でも、収入を得るための再雇用先は見つからない。そこで、生活のために不動産投資の家賃収入に手を付け、それによりローンの返済が止まってしまう。そんな事案です。

とはいえ前述の通り、50代でも金融機関の基準にかなえばローンを組めるのは確かですし、不動産投資を始めることで、年齢が高い人ならではのメリットも享受できます。ではそのメリットとは、具体的にどんなものなのでしょう。以下に紹介していきます。

「現金運用益」と「生命保険効果」を得られる

50代以降の不動産投資でなんといっても魅力なのが、退職金などを利用してローンを繰り上げ返済することで、不動産経営のキャッシュフローを大きく良化できることです。

たとえば前述の例と同様、52歳で3000万円の投資用ワンルームマンションを、84歳までのローンで買ったとします。65歳で退職すると、その時点で残債は2000万円ほど。返済はまだ19年間続きます。

そこで退職金のうち、仮に500万円を早期返済に回すと、それにより元本が減り利息が抑えられるため、トータルの支払いは約94万円安くなります。しかも毎月の収支(ローン返済額-家賃収入)は、本来は約1万円の支払いだったところが、逆に約1万5千円の受け取りとなる。つまり月に約2万5千円も収支が改善されるのです。年間だと約30万円の改善となり、受け取る額は計18万円ほどになります。

繰上返済

もし銀行に500万円を定期預金で預けても、利息はせいぜい数千円程度でしょう。そう考えると、現金運用としてはかなり効率的といえます。

また50代以降の人にとって、不動産投資に備わる「生命保険的機能」も大きなメリットとなります。不動産投資を始める際は多くの場合、団体信用生命保険に入ることになります。団体信用生命保険、通称“団信”とは、もし死亡や高度障害などでローンの支払いができなくなった場合、残りの支払いが免除される保険のことです。つまり万が一のことが起こったら、不動産という形で保障を受けられるというわけです。

残債なしの不動産ということで、賃貸に回せば家賃がまるまる実入りとなりますし、もちろん売却することもできます。

保険というと、年齢とともに保険料がどんどん上がっていくのが普通です。だからこそ50代以降の人にとって、毎月1万円程度の支払い(ローン支払い額-家賃収入)で生命保険効果を得られる不動産投資は、貴重な存在となります。特に、これからまだたくさんのお金がかかる家族を抱える方には、頼もしいものとなるでしょう。

貯金や退職金などでまとまったお金がある場合、運用益だけを見れば、不動産投資ではなく投資信託という選択もありでしょう。ただ、実質的な現金運用益と保険効果の両方を得られるのは、まさに不動産投資ならではの強みです。そして不動産投資であれば当然、不動産という家賃を毎月生み出す資産を得ることができます。

こうした不動産投資の“うま味”を考えると、「50も過ぎて長期ローンを組むなんて…」と嘆く必要は、全くないのではないでしょうか。特に人生100年といわれるこの先の時代は、そうした傾向が一層強まっていくでしょう。

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