ワンルーム投資を始めるまでの手続きと、新型コロナで変わったローン審査基準

全ての書類に記入するのに2時間くらいかかる

ワンルームマンション投資を行うには、一にも二にも、物件を購入する必要があります。そして物件を購入するまでには、「金融機関のローン審査を通過し、融資を受ける」という工程があります。まさにワンルームマンション投資の、最大の“山場”と言えるでしょう。

今回はワンルームマンション投資を始めると決めてから、実際に物件を引き渡されるまでに、ローン審査を含めどんな手続きを踏む必要があるのかを、ざっと紹介します。あわせて、新型コロナの影響で変化した、ローン審査の基準についても、現場のリアルな視点で紹介します。

まず、投資用ワンルームを買うと決めたら、不動産投資会社と契約に関する書面を交わします。その内訳は大まかに、重要事項説明書をはじめとする販売会社との契約書類、融資を受ける金融機関に対する審査書類、司法書士に提出する登記関係の書類、賃貸管理会社と建物管理会社への提出書類などです。実印や銀行届出印が必要な書類もあるので、申請者は必ず持参する必要があります。

とにかく書類が多く、何度も署名や捺印が必要で、全ての書類の説明を受けて記入するのに2時間前後かかることが一般的です。慣れていない人には大変かもしれませんが、「ワンルームマンション投資で最大のふんばりどころ」ととらえ、ひと息で片付けてしまいましょう。全ての書類への記入が終わったら、販売会社の担当営業マンはそれを会社に持ち帰り、すぐに金融機関や司法書士、管理会社に提出します。

マンションを買っても「実感がない」人がほとんど

そして、これにより自動的にスタートするのが、金融機関によるローン審査です。金融機関が審査するのは、主に以下の2つ。「収益性を含めた物件の資産価値」「申請者の社会的属性と信用情報」です。そして状況に応じ、たとえば「直近の給与明細」「手取りの収入額を証明するもの」「雇用契約書」などが、金融機関から追加で求められることもあります。

並行してローン審査では、金融機関による申請者の面談も行われます。従来多かったのは金融機関の担当者が申請者のもとを訪れ、1時間弱くらいの面談を行う形ですが、最近は電話やWeb会議で行う形もよく見られます。あわせて司法書士からも、登記に関する5分程度の面談を受けます。その後、金融機関や司法書士から書類を受け取り、返送します。

そうして一連の手続きと審査を経て、通常は審査書類を提出してから1~2週間後くらいに、審査結果が告げられます。提出から2~3日後に信用情報の問題などで融資を断られるケースは一定数ありますが、追加資料を提出した後に審査落ちするケースは、あまりありません。金融機関としても、できるだけ審査を通したいからこそ、追加資料を求めることがほとんどなのでしょう。

晴れて審査が通ったら、物件が引き渡されます。その後、2週間ほどで「登記識別情報通知」という権利証が送られてきて、申請者は正式に「マンションオーナー」となります。とはいえワンルームマンション投資の場合、管理は業者に任せるのが一般的で、オーナー自身が大家業務をしたり物件に立ち寄ったりすることは基本的にないので、オーナーとなっても「実感がない」という声が非常に多いのです。

物件購入後は、定期的に送られてくる管理総会の案内や議事録に目を通したり、税金の払込みをしたりするくらいで、基本的にすることはありません。

一部の業界のローン審査が非常に厳しくなった

そんなワンルームマンションの購入手続きですが、実はコロナ禍により変化した部分があります。それがローンの審査基準です。単刀直入にいうと、一部の業界の方々に対する審査が、非常に厳しくなりました。

その代表が、旅行業界です。以前は大手旅行会社の方であれば、全く問題なく融資はおりていました。それがコロナ禍により旅行会社の業績が大きく下がったことで、今や業界最大手の旅行会社社員でも、フルローンを組むのが難しい状況になっています。

同じく航空業界の方も、ローンが非常に組みにくくなっています。たとえばCAさんは、これまで多くの方々が不動産投資ローンを問題なく組んできましたが、今はCAさんの時点で金融機関から断られる状況です。同じく航空整備士や空港職員といった方々も、軒並みローンが組めない状況になっています。航空業界で今なおローンを問題なく組めるのは、パイロットくらいかもしれません。

とはいってもローン審査がほぼ通らなくなってしまった業界は一部で、あまり以前と変わらない業界も少なくありません。ただ、総じて銀行の与信枠が狭くなっているのも事実です。というのも、少し前なら年収400万円でも、業界によってはフルローンを組むことは可能でした。それが最近は、フルローンを組める年収の下限を500万円や550万円に引き上げる金融機関が、かなり増えているのです。

もともと不動産投資業界には、「不動産投資ローンといえば」という2大金融機関があり、どちらも審査が通りやすいことで知られていました。ところが近年は、そのうちの一行の金利が大きく引き上げられています。

不動産投資ローンは組めるうちに組んでおくべき

こうした背景には、「ローン返済を延滞する人が増えている」という事実があるでしょう。延滞者が増えれば当然、金融機関の業績に影響しますし、そもそも金融機関は金融庁の監督下にあり、与信枠が充分ではない人に貸し付け、その結果支払いの遅れが多く出ているとなると指導が入りかねません。さらには新型コロナも含めた「この先、世の中がどうなるかわからない」といった空気も、融資枠を狭めることに繋がっているのではないでしょうか。

実は、金融機関によるローン審査の基準は、時代によって大きく変わってきています。例えば20年ほど前は、フルローンを組める人の年収基準は、おおよそ800万円くらいでした。したがって、その頃マンションを購入した方々は、軒並み高属性という傾向があります。

そこから投資マンションのビジネスモデルがどんどん整備されていき、金融機関も投資用マンションに対する信頼を高めていった結果、年収基準は400万円くらいまで下がりました。そして最近になり、また年収基準が上がり出しているという流れです。

とはいえ、もちろん金融機関によって審査基準は変わるので、例外もいろいろあります。

以上をふまえてひとつ言えるのは、「不動産投資ローンは、組めるうちに組んでおくべきである」ということです。特に今後は時代の変化がますます激しくなり、先を見通すことがより難しくなっていくでしょう。だからこそ、利用できるローンは利用できるうちに、その恩恵にあずかっておきたいところです。

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