あれこれと悩み不動産投資を始めようと決意したあなた。後は契約だけ!と思いきや、いざ契約となると次から次へと必要書類、契約書類の記入が… 実は、説明の義務がある重要事項説明とは裏腹に契約書内容に関しては、説明の義務がないためさらっと流されてしまう可能性があります。先に契約内容をある程度把握しておき、不明点・疑問点を発見することが大切です。不動産購入は一生のうちでも希少な買い物です。契約前に契約書類の押さえておくべきポイントを予習しておきましょう。
1.物件が自分のモノになるまでの流れ3ステップ
さっそく全体の流れを把握しましょう。物件を所有するまでの工程は①重要事項説明、②契約関係、③面談対応を行い、引き渡しが完了します。
ステップ1、宅建士から「重要事項説明」を受ける。これは必ず契約の前に読み合わせなければいけません。なぜなら契約の決め手に関する事項を把握する事でトラブルを防ぐためです。重要事項説明のチェックポイントに関してはこちらの記事を参考にしてみてください。
*ワンルームマンションを買う前にチェック!重要事項説明書で確認するべき7つのポイント
ステップ2、「契約関係」に移ります。詳しくは後述しますが、おおよそ20近くの書類にサイン、押印をすることになります。契約時間は1時間〜2時間ほどかかることが多く、購入者の中には書類の量に滅入ってしまう人もいます。また、金融機関へ提出する書類は消印が効かない一発勝負の書類もあるので集中力が必要になります。
ステップ3、「面談対応」があります。基本的に2回ほど電話で対応することが多いです。金融機関から火災保険の電話(約20分)、司法書士から本人確認の電話(約5分)があります。電話では、本当に不動産を購入する意思があるのかを最終確認するためにいくつか簡単な質問をされます。電話面談は、平日、日中の対応が求められるので時間調整が必要です。無事に全ての対応が終わると後は、物件の引き渡し(物件登記)を待つのみです。契約書に引き渡し予定日が書かれているのでチェックしておきましょう。引き渡しが完了すると、ようやく自分のモノとして所有することができます。
2.最低限チェックするべき項目とは?
流れを把握したら、契約内容を確認していきましょう。ここで事前にある程度理解しておくことで当日営業マンの言っていることがすんなり入ってくるようになります。20程書類がありますが、特に以下の5項目には注意しましょう。
売買契約書はどのような条件で売買が行われたかを証明するものです。シミュレーションの価格と売買代金、手付金と実際の受取額が一致しているかを確認することはもちろん、見落とされがちなのが裏面です。裏面には当たり前のことが書かれてありますが、思わぬところで買主の負担が発生する場合もあります。悪徳業者だと裏面を説明しないのをいいことに書き換えられていて、買主に不利な条件で契約を結ばされたという事例もあります。
- 「引き渡し前の滅失・損傷」・・・自然災害によって引き渡し前に建物が滅失してしまった場合、誰の負担かが記載されています。民法では買主が負担することになっています。建物がないのにお金だけ払わなくてはいけないという事態になったら悲惨です。だから、ふつうは売主の負担とする特約がついています。
- 「負担の削除」・・・前の所有者に抵当権などの権利関係が登記されている場合は、引き渡しを受ける際にその権利は抹消されるのか引き継がれるのかが記載されています。もし知らずに抵当権がついたまま登記がなされた場合、知らずに抵当権が発動されて物件が没収されるというトラブルにもなりかねません。ただ、多くの場合物件を担保として抵当権が設定されているので、たとえ抵当権がついているからといって恐れることはありません。大事なのは、どんな権利が付帯されているのかを把握しておくことです。
- 「ローン利用の特約」・・・多くの場合、融資を組んで物件を購入することがほとんどです。よく記載されているのが、金融機関の審査が落ちてしまいローンが組めなくなってしまった場合の対応についてです。多くはローンが通らなかった場合、預けた金額が全て戻ってくる旨が書かれています。他にも、ローン却下時に別の金融機関に申し込みを入れるという旨も記載されていることがあります。ローン特約は具体的に書かれていないと、白紙撤回できずトラブルが起きやすくなります。
- クーリングオフ・・・いわゆる8日間のキャンセル期間です。告知をされ書面を受け取った日から効力が発揮されるので、いつまで適用期間であるのかを把握しておきましょう。書面で受け取っていなければいつまでもクーリングオフは可能です。ただし、注意すべきなのは申込場所によってはクーリングオフができない場所もあります。
- サブリース契約書(一括借上契約)・・・契約期間中は実際の入居者がいてもいなくても家賃を振り込みますという契約です。あるあるなのが、十数年後相場に合わせてどんどん保証額が下げられる例です。キャッシュフローがどんどん悪くなっていき、予測していた経営シミュレーションとはかけ離れてしまった…と嘆く人もよくいます。だいたいは相場に合わせて家賃の見直しが行われます。もし一括借上額を下げたいというお願いに拒否したとしても、周辺の家賃相場が低ければそれに合わせた家賃になる可能性が高いのです。
今回はたくさんある契約書類の中でも確認しておかないと損害の大きい5つの項目を解説しました。最低限のポイントを抑えておけば悲惨な事態を防ぐことができます。必要以上に危惧することはありませんので、ぜひ物件購入の際は“慎重に、でも大胆に”を心がけてみてはいかがでしょう。トラブルなく不動産経営ができることを願っております。