《ワンルームマンション投資》とよく引き合いに出されるのが《アパート経営》。
不動産投資に興味を持たれている方であれば、どちらも一度は目にしたことはあるのではないでしょうか。
この2つ、大まかな違いで言えば、前者はミドルリスクミドルリターン、後者はハイリスクハイリターンとなります。もちろん目先のキャッシュフローだけ見ればアパート経営に軍配が上がりますが、2つとも全く異なる不動産投資になるため目先の利益だけで善し悪しを判断するのは大変危険です。
そこで今回はワンルームマンション投資(以下区分マンション投資)とアパート経営を大まかに比較し、あなたにとってベストな選択はどちらなのかをみていきましょう。
まずは2商品のメリットとデメリットをそれぞれご紹介いたします。
比較 | 区分マンション投資 | アパート経営 |
メリット | ・フルローンが比較的組みやすい ・耐用年数が長く 築古でも賃貸需要が見込める ・資産価値の高い都心に 建てられているケースが多い |
・利回りが高い ・投資規模が大きいため収益性が高い |
デメリット | ・利回りが低い ・収益性が低いため キャッシュフローが上がりにくい |
・必要な自己資金が多い ・家賃の下落率が高い ・修繕費用が大きい ・駅から離れた立地が多いため 空室リスクが高い傾向がある |
まず、区分マンション投資に向いている人の大まかな特徴を挙げると下記の通りになります。
・リスクと手間を最小限に抑えたい人
・初期費用を抑えたい人
・物件管理に時間をかけられない人
区分マンション投資は他の不動産投資と比較すると投資規模は小さくなるため、収益性が低く利回りも低い傾向になります。しかしながら、前後入居率が非常に高く資産性の価値が落ちにくい都心に建てられているケースが多いため、大幅にリスクを抑えた投資方法となっています。
また、区分マンション投資の最大の特徴は【低金利でフルローンが組めること】にあります。区分マンション投資は投資商品としてのパッケージが確立されているものになり、物件を買うオーナーの社会的属性が基準を満たしてさえいれば、基本的にフルローンが組める立て付けになっています。
このような特徴を持ったものは投資商品の中でもかなり希少な存在です。さらには金融機関によっては年収500万円台から低金利・フルローンでの属性対象になっており、アパート経営と比較すると始められる敷居は格段に低くなります。
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「ワンルームマンション投資ではなぜ「フルローン」が組めるのか!?」
以上のことを簡潔にまとめると、区分マンション投資は『本業が忙しく投資に時間をかけられない人』や『ローンが通る属性ではあるが、初期費用やリスクをできるだけ抑えたい人』に向いているといえるでしょう。
対してアパート経営はどうでしょうか。
先ほどと同様、アパート経営に向いている人の大まかな特徴を挙げてみます。
・手間とリスクをとっても利益を上げたい人
・年収が高い人
・資産をたくさん持っている人
アパート経営は投資金額が大きくなるため多くの収入を得られる可能性があります。その反面、駅から離れた立地に建てられることが多いため空室リスクや家賃の下落率が高い傾向にあります。その上修繕が発生したさいの費用も高くつくなど、変動要素が比較的大きいです。
また資金調達の段取りにも注意が必要です。アパート経営の場合も区分マンションと同様に販売会社から金融機関を斡旋され、フルローンを組むプランを提案されるケースもあります。しかしこれはアパート経営の中でも、新築アパートをパッケージ性で売ることを強みとしている、数少ない大手のディベロッパーが行っている手法になります。
この手法だとそれなりの魅力を感じるかもしれませんが、新築のアパートは総じて物件価格が高い上に、賃料や資産価値の下落が激しいため、当初のシミュレーション通りにはいかないことが多いので注意しましょう。
そしてそのような手法を用いることのできない中古のアパートなどは、基本的に金融機関に自分で話を持っていって資金調達を行う必要があります。アパートローンを積極的に取り扱っている金融機関も限られていますので、かなりの時間と労力を求められるといっても過言ではありません。
加えてアパート経営のローン審査では金融機関側に担保の提出を求められたり、年収や必要な頭金のラインも高めに設定されていたりと、フルローンを組むことへのハードルは非常に高いです。貸出金利も2%台からのものが多く、比較的高い傾向にあります。
以上のことをふまえると、アパート経営は『一定の事業規模で利益を上げたいと思っており、多少の変動要素にも対応できるほどの資金力がある人』に向いているといえるでしょう。
ここまでアパート経営と区分マンション投資の大まかな違いを述べてきましたが、もう一点注意していただきたいポイントがあります。それは「物件購入後の建物管理」についてです。
不動産投資を行うさいは物件を購入して終わりではなく、その後の管理も行う必要があります。建物管理は大きく分けて入居者の募集などを行う「賃貸管理」と、建物のメンテナンスなどを行う「建物管理」の2つに分かれます。
区分マンションの場合は建物管理会社と賃貸管理会社があらかじめ決まっていることが多く、物件購入後の運用面でやらなければいけないことはほぼありません。
一方アパート経営の場合、賃貸管理会社はあらかじめついていることが多いですが、建物管理会社は基本的についていません。もちろんオーナー自身で管理会社を選定し管理を一任することもできますが、利回りや投資効率などの観点から、建物管理に関してはオーナーが1人で全部対応しているケースもあります。
特に管理業務の中でも建物の修繕についてですが、マンションと異なりアパートの場合は入居者が毎月修繕積立金を支払うケースは稀であり、建物の修繕計画やそれに伴う費用の捻出等はオーナー自身で段取りしていく流れになります。
このように建物管理の面でアパート経営は多大な労力を要します。検討するさいは目先の収支だけでなくこのような面にも目を向けて、長期的なシミュレーションを行っていただければと思います。
これまで見てきたように、アパート経営と区分マンション投資は投資のスキームが全く異なるものになります。投資の目的はもちろんのこと、個々人の置かれている背景や資産状況などにもよってベストな選択は変わってきます。自分はどちらの選択がベストなのか、この記事の内容が少しでも参考になれば幸いです。