突然ですが皆さん、『投資』というとどのようなイメージを抱きますか?おそらくどこかとっつきにくいような、そんな難しい印象を抱く方は多いのではないでしょうか?
しかし人生100年時代といわれている今、ゆとりある高齢期の生活を確保するためには、計画的に資産形成を進めることが重要であるとの認識が高まっています。
厚生労働省でも2018年10月から計画的な資産形成が可能なiDeCoとつみたてNISAに対して奨励制度を設けたりと、一昔前とは異なり「投資」はより身近なものになり、ごく一般の人が日常的に行う行為となっています。
そんな投資ですが、大きく分けて『金融資産』と『実物資産』の2つの種類に分かれることはご存知でしょうか。一般的にイメージすることの多い株やFXなど、それ自体に価値があるわけではないものの評価額を換算することができ、現金化できる資産のことを『金融資産』といいます。一方貴金属や不動産など、形がありそれ自体に価値があるもののことを『実物資産』といいます。
金融資産と実物資産、両者ともそれぞれ特徴があり、負っているリスクも異なってきます。そこで今回は、それぞれの特徴などを見比べながら、両者を比較検討していきましょう。
まずは2種類の主な特徴をご紹介していきます。
比較 |
金融資産 |
実物資産 |
メリット |
・少額から始められる ・ハイリターンを狙いやすい ・資産の流動性が高い |
・価格変動リスクが少ない ・インフレに強い ・値崩れしにくく、価値がゼロになる ことはほぼない |
デメリット |
・景気に左右されやすい ・価格変動リスクが大きい |
・資産の流動性が低い ・保有するためのコストがかかる |
大まかにまとめると、金融資産はハイリスクハイリターン、実物資産はミドルリスクミドルリターンとなる傾向があります。ただし一口に金融資産や実物資産といっても種類が様々あり、それにより大きく特徴も異なってきますので、あくまでざっくりとしたイメージになります。
以下に各種類を少しだけ詳しく解説していきます。
【金融資産】大きな利益が狙えて資産の流動性が高い反面、投資リスクが大きい
金融資産の中でも投資の対象となるのは、預貯金・株式・債権・投資信託となります。中でも投資のイメージが強いのは、株式や投資信託といったところでしょうか。
金融資産の最大の特徴は、なんといっても流動性が高い(いつでも売買可能で、一度に売買できる数量が問題とならない)ことです。売りたいときに売ることができ、買いたいときに買うことができるのは、実物資産ではあまりみられない着目すべき点でしょう。また金融資産の中でも株やFXなどはレバレッジ効果が高く、大きな利益を狙うことができます。
しかしその反面、価格変動幅が高いというリスクがあります。特に2008年に発生したリーマンショックのような世界的な経済不況に陥った場合、資産全体が大打撃を受ける可能性があります。
【実物資産】投資リスクが比較的低く、「安全資産」といわれることも
実物資産の中で一番イメージしやすいものは不動産でしょう。それ以外にも太陽光発電機、美術品、酒類、スニーカーなどいくつか種類があります。
どれも共通して言えるのは、金融危機など世界情勢に大きな変化があったとしても値崩れしにくく、投資リスクが比較的低いことです。にもかかわらずインフレには強い一面を持っています。そのような特徴から、実物資産は「安全資産」といわれたりもします。
一方資産の流動性は低く、急にまとまったお金が必要になった時などの対応が難しいことが懸念点となります。また、不動産の場合は固定資産税や火災保険料、美術品の場合は商品を一定の質に保つための費用(保管サービス料)など、実物を保有するためのコストが発生します。さらには金融資産とは異なり少額から始められる商品は少なく、ある程度のまとまった資産を要するものが多いです。
そのため実物資産での投資を始めるさいには、メリット・デメリットを含めた長期的なシミュレーションを考える必要があります。そうすることで予想外のトラブルにも対応しやすく、落とし穴を回避できる可能性が高くなります。
実物資産と金融資産でうまくリスクヘッジを図ることが理想
ここまでみてきたように金融資産と実物資産、両者それぞれ異なる特徴を持っていることが分かります。
投資の王道といえば金融資産での運用になりますが、先述したように金融資産は景気に左右されやすく価格変動が大きいというリスクがあります。そのため金融資産のみの投資方法ではリスクヘッジが難しく、どれか一つに絞って大きな利益を狙うというよりは、金融資産と実物資産、両者をバランスよく所有することでお互いの補完リスクを補うのが一番の理想の形となります。
実物資産にもいろいろ種類はありますが、趣味嗜好のものが多かったりそもそもの供給数が少なかったりするものが多く、代表的なものといえばやはり『不動産』でしょう。キャピタルゲインを得ることを目的としていることが多い実物資産の中でも不動産は特に例外となっており、長期的な運用に向いている投資方法となっています。
また他人の資本を活用して資産を構築することができ、老後資金や税金対策にもつながるという、他の投資商品にはあまりみられない魅力的な点をもっています。世界的な新型コロナウイルス感染拡大のニュースが発表されてから早2年経ちますが、不動産、特に都心のマンションに関してはそのような状況下でも取引価格は上昇を続けており、この先もこの流れは続くと考えられています。
「投資は株やFXだけで十分」「不動産などの実物資産は管理や選定が大変そう」など不動産を含めた実物資産に対してネガティブなイメージを抱いている方は多い印象ですが、投資で継続的に利益を出していくためには、安定性が高い実物資産、特に不動産をポートフォリオに組み込むことは非常に有効な手段といえるでしょう。
先行きを見通すことが難しいこんな時代だからこそ、不動産投資を取り入れてリスクヘッジを図り、安定した投資を目指してみてもいいのではないでしょうか。