人生100年時代といわれる今、ゆとりある生活や老後資金への備えとして様々な資産運用商品が世にあふれています。中でも生命保険の見直しや年金対策として非常に効果的な不動産投資に、近年大きな着目が集まっています。
不動産投資は株やFXなどと異なり「実物資産」になるため、始めるにあたり真っ先にリスクを気にされる方は多いでしょう。
不動産投資のリスクには様々ありますが、運用中に急に出費が必要になる項目の1つとして『設備修繕費用』があります。リスクとしてあまり着目されない項目になりますが、意外と大きな費用が発生します。
今回はそんな設備修繕費用についてお話ししていきます。
設備修繕費用とは
不動産投資というのは買って終わりではなく、購入後もランニングコストがかかってきます。代表的なものには、毎月かかる管理費や修繕積立金、固定資産税などの税金関係、入退去に伴う部屋の原状回復費用などが挙げられます。
そして気に留める人が少ない項目になりますが、『設備修繕費用』というのもランニングコストに含まれてきます。これは、入居中にある日突然エアコンや給湯器などが故障した場合に、それらを修理・交換する費用になります。
よく混同されがちですが、毎月支払っている修繕積立金とは別で発生する費用になります。
修繕積立金は数十年に一度行われる「大規模修繕」を行うために準備するお金のこと。大規模修繕はコンクリート補修や外壁塗装など、建物の共用部分の劣化を回復するための修繕になります。
対する設備修繕費用とは、エアコンや給湯器など居住スペースである専有部分の設備の修繕に発生する費用のことです。
国土交通省が発表している「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」によると、エアコン及び給湯器の交換目安時期は11〜15年目となっており、費用目安は各々11万円となっております。
他にも洗面台やトイレ、キッチン、浴室設備など修理や交換が必要になる項目は多岐にわたります。設備修繕費用は建物や部屋の中の状況によっても変わりますが、35年間で大体150万円前後は見積もっておいた方がいいと言われています。
中古物件は購入直後に修繕が発生する可能性アリ
今までみてきたように、設備修繕費用は意外と大きな金額がかかるもの。ワンルームマンションを始めとした不動産投資を検討するさいは、必ず設備修繕費用も盛り込んだ長期のシミュレーションを販売会社に提示してもらいましょう。
特に中古物件を検討している方は、部屋の設備の現状は必ず担当の営業マンにチェックしましょう。先ほど述べたように、設備修繕費用は大体築10年前後から発生します。そのため、中古物件を購入した直後に設備の故障が発生し、数十万単位での出費を求められる可能性は大いにあります。
キャッシュフローや利回りの面で物件を決めたのに、いきなり想定外の出費が発生してしまった…なんてことにならないように、どの時期にどのくらいのお金がかかるのか、より現実に即したお金の流れは把握しておきたいところです。
その点新築物件は建物が新しいことからも、向こう10年間は想定外の出費が発生する可能性は低くなります。しかし設備修繕費用というのはいずれ必ず発生する費用になります。ある日突然請求が来ても対応ができるように、ある程度の資金は準備しておきましょう。
不安な方は設備保証サービスの利用を
いつどこで発生するか分からない設備修繕費用。しかも故障が重なったさいは大きな負担増になるから心配だな…と思うのであれば、販売会社が展開している【設備保証サービス】を利用するのも手です。
設備保証サービスとは、毎月定額を支払うことにより、何度でも設備の修理・交換を保証するというもの。例えば弊社の場合は、住宅設備保証サービス「まもらんど35」というサービスを提供しています。まもらんど35には【基本設備保証サービス】と【オプションサービス】の2つのサービスがあります。
基本設備保証サービスは、室内へ備え付けられた設備および備品の修理・交換を保証するものになります。しかし、キッチン・ユニットバス・洗面台・トイレ本体の交換は対象外となります。オプションサービスは、先ほどの4つの設備の交換も含まれたサービスになります。
気になる料金ですが、基本的な都心のワンルームマンションを新築で購入した場合、【基本設備保証サービス】は月額3,500円、【オプションサービス】は月額4,100円になります。1LDKなど広めの部屋や中古物件の場合は、さらに料金が上乗せされます。
設備保証サービスを利用するさいの注意点
このように、設備保証サービスは毎月定額を支払うことにより、保証期間中は設備の交換や保証を半永久的に保証してくれるものになるため、一見お得なサービスに感じますが、何点か注意点があります。
まず保証期間には期限があります。弊社の場合は35年と決められているため、35年以降の設備修繕費用についてはオーナー様の負担になります。
ちなみに弊社の場合は35年ですが、設備保証サービスを検討するさいは必ず保証期間は確認しましょう。よくありがちなのが、料金が比較的安く一見得かと思いきや、保証期間が10年前後と実際にメンテナンスが必要な時期をカバーしていないというもの。このような内容では元も子もありません。
またこちらのサービス、巷では「加入するのは損だからやめた方がいい」と言われがちです。確かに設備保証サービスに加入しないで個々の事例に対応するより、サービスに加入した方がオーナーの総支払額は高くなる傾向があります。
しかし投資というのは先行きが不確定であり、いつどこで予想外のことが起こるか分からないもの。そのため、できるだけ不透明な要素を排除すべく、加入する方も一定数いらっしゃいます。
そのため加入のさいは、料金とサービスの内容がつり合っているかどうか、よく検討するようにしましょう。気になる方は平均的にどのくらいの請求が来ているのか、担当の営業マンにチェックしてみるのもいいかもしれません。
以上、今回は設備修繕費用についてのお話でした。これまで述べたように、思いのほか大きなお金が発生する項目になります。見落としていてキャッシュフローが大きく崩れてしまった、なんてことにならないようぜひ頭の片隅に入れておいていただきたいです。