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不動産投資でデザイナーズマンションを選ぶのってアリ?実は、リスクもけっこうあります

作成者: NAVIVA運営部|2020年1月07日

建物の形が斬新だったり、エントランスが豪華だったり、内装がおしゃれだったりと、普通とは一線を画すデザインをもつ「デザイナーズマンション」。デザイン性の高さという付加価値があるぶん賃料を高く設定できるということで、不動産投資でデザイナーズマンションを勧める業者もいます。

でもその裏には、大きなリスクを抱えていることも少なくないんです。知らずに買ってしまうと、後で痛い目にあいかねません。

果たしてデザイナーズマンションが抱えるリスクとは、どんなものなのでしょう?

なぜデザイナーズマンションは“儲かりにくい”のか

例えば、30平米・4500万円の新築デザイナーズマンションが都内にあるとします。不動産投資会社の営業マンによれば「一般的なデザインのマンションより物件価格は高めですが、デザイン性が高いので賃料を15万円はとれます」という見立てです。実際のところ投資を始めて最初の10年、20年くらいまでは、その家賃でも入居者を付けられるかもしれません。

とはいえいくらデザイン性が高くても、あくまで30平米のワンルームマンションです。20数年を経て新築トレンドがなくなったとき、その賃料のまま入居者を付けるのは、普通に考えれば難しいでしょう。その頃には賃料を3~5万円くらい下げざるを得ない可能性があります。要は物件をローンで購入した場合、月々の手出し額(月々のローン返済額-家賃収入額)が3万円以上も上がるかもしれないということです。

デザイナーズマンションはもともと物件価格が割高なので、高い家賃収入が取れなくなった場合、ローン負担が通常よりグッと大きくなります。経済的に余裕があるオーナーならそれでも耐えられるでしょうが、年収500~600万円でローンをなんとか組んだというオーナーには耐えられないかもしれません。場合によっては、ローンが残った状態で物件を売却せざるを得なくなってしまいます。

でも、不動産投資用マンションにはたいてい一括借上契約が付いているのでは? 確かにそうなんですが、実はデザイナーズマンションの場合、一括借上契約が付くのは最初の数年間だけと決められているケースもけっこうあります。おそらく、最初の家賃を維持できない可能性が高いということで、業者側がそのように“保険”を打っているのでしょう。

おしゃれであることはマイナス要因にもなり得る

そもそもデザイナーズマンションは、そのときのトレンドを前面に打ち出していることが多いです。でもトレンドというのは、浮き沈みがつきものですよね。だから当初はおしゃれであっても、そのおしゃれさがずっと維持されるとは限らない。そしてトレンディでとがったデザインであるほど、トレンドが去った時のマイナスも大きい。要は、当初はすごくおしゃれに思えたデザインも、数十年後にはそれが“ダサさ”の大きな要因になり得るというわけです。

またデザイナーズマンションは、維持費がかさみやすいというのもリスクの大きな一つです。たとえば外壁や内壁に、普通とは違うおしゃれなタイルを使っている場合。デザイン性は高い反面、安く大量発注できる品ではないので、修繕や張り替えの際に予想外の高値になることが往々にしてあります。

デザイナーズ物件でよく見るコンクリート打ちっぱなしや吹付け塗装の外壁も、新しいときれいでかっこいいのですが、経年による汚れやひび割れが目立ちやすいというデメリットがあります。だからそれをカバーするとなると、やはり修繕費は割高になります。

もちろん、所有する物件にステータス性を求める人もいるでしょう。それであればデザイナーズマンションも大きな選択肢になるかもしれません。またデザイナーズマンションであることが、投資としてプラスに作用するケースもあります。

たとえばそのエリアの価値が数年後に大きく高まれば、デザイナーズという付加価値を持つ物件には、より大きな需要が集まるかもしれません。そもそもそのデザイン性の高さが、年月を経ても価値の下がらないタイプのものであれば、後年でも付加価値を維持し続けられます。

中には、かつて流行ったサウナが付くマンションで、近年になってその希少性とサウナのトレンドにより入居待ちが出るほど人気になっているケースもあります。だからデザイナーズマンションによる不動産投資は成功しないとも一概には言えないんです。

安定運用を目指すなら、投資データの豊富なマンションを

とはいえ、専門家でもない人がそうした物件を狙って買うのは、なかなか難しいでしょう。それならば投資として運用することを突き詰め、そのためのスキームができあがっている量産型のワンルームマンションを買った方が、明らかにリスクは低いというのが正直なところです。

そうした投資型ワンルームマンションはデザイナーズマンションよりも圧倒的に数が多く、豊富な投資データをもとに開発されています。だからデザイン価値や賃料の浮き沈み、イレギュラーな修繕費といった不確定要素が少なく、より安定運用を望めるのです。

まあ結局は、物件を買う際は価格と投資効果が見合っているのかをきちんとチェックしましょう、というところに帰結します。デザイナーズ物件であることで、相場よりもどのくらい価格が高くなっているのか。そしてその価格分のリターンはあるのかどうか。もちろん売る側は「デザイン性が高いので、家賃をこんなに取れますよ」ともちかけるでしょうが、本当にその見立てが適正なのか、賃料相場と見比べて判断する必要があります。

そんなふうに比較検討すると、デザイナーズマンションの価格は投資リターンよりもだいぶ割高であることが多い、というのが現実なんです。

「デザイナーズマンションは、フルオーダーメイドのスーツのようなもの」と考えたらわかりやすいかもしれません。同じスーツでも、既製品やパターンオーダーくらいまでだったら、値段はあまり跳ね上がりません。それがフルオーダーとなると、一気に値段は跳ね上がります。果たしてその差額に見合った効果はあるのか?ということになります。

もちろんそこは人それぞれの価値観なので、差額分以上の効果を感じられる人もいるでしょう。でも少なくとも不動産投資の場合は、自分がその物件に住むわけではありません。それならば華美なデザインを求めるのではなく、より安定運用を見込めるものを選ぶほうが、投資という観点では断然スマートなのではないでしょうか。