リボ払いはダメ!ワンルームマンション投資会社のローン担当に聞いた、ローン審査の裏事情
ワンルームマンション投資は、「フルローン」を活用することで持ち出し資金をできる限り小さくするというのが、オーソドックスな投資モデルです。そこで大きな肝となるのが、金融機関による「ローン審査」です。今回は、不動産投資会社のローン担当者として、ローン審査に日々立ち会っているNさんに、ローン審査に関する“裏事情”を聞きました。
|
【プロフィール】
Nさん
ワンルームマンション投資会社のローン担当者として、金融機関とのローン審査に関する折衝にあたる。ローン担当を務めて4年目。
|
ローンが通るかどうかは「事前相談」でほぼわかる
──まずはローン担当のNさんの業務内容を簡単に教えてください。
ひとことで言うと、お客さまと金融機関をつなげ、金融機関に融資を実行していただく仕事になります。具体的には、まず弊社の営業マンから報告があがってきた、ワンルームマンション投資を始めたいお客さまの情報を、大まかに金融機関の担当者に伝え、融資を受けられそうかどうかを「事前相談」します。
そこで金融機関から「おおむね大丈夫そう」と返事をもらったら、営業マンはお客さまと売買契約を結びます。あわせて私はお客さまの必要書類を受け取り、金融機関に提出してローン審査に入ります。
──ローン審査の前に、「事前相談」をするのですね。
はい。ただしすべてのケースで事前相談をするわけではなく、お客さまの社会的属性や借入状況などをふまえて明らかに融資が問題なくおりそうな場合は、直接ローン審査に入る場合もあります。
逆に事前相談の前後に、「こちらでできること」をする場合もあります。たとえば事前相談で「今回は与信枠が少し足りなそう」と金融機関からお返事があれば、営業マンにそれを伝え、価格の安い中古物件をお客さまに提案してもらうこともします。
あるいはクレジットカードの支払いの延滞がある場合は、お客さまにその事情をヒヤリングし、それを金融機関に「こんな状況でやむをえず延滞してしまったそうなので、その点を考慮して融資を行ってもらえないでしょうか」などと交渉することもあります。
いずれにせよ、事前相談で金融機関から「おおむね大丈夫そう」と返事がきた場合は、その後の本審査では9割方通るイメージです。
「返済表が出ない借り入れ」は大きなマイナス要因に
──逆に「事前相談」ではおおむねOKだったのに、ローン審査で落ちるのは、どんなケースですか?
多くはお客さまがこちらに申告していないマイナス要因がある場合ですね。カードの支払いで延滞があったとか、過去に派手に遊んでいて借り入れの履歴がたくさん付いているとかです。金融機関では融資を実行する前に、CICなど個人信用情報を記録する機関で申請者の情報を調べるので、そうしたことは発覚してしまいます。
わかりやすいのは、アコムやアイフルなどの消費者金融からお金を借りている方です。あとは消費者金融でなくても、クレジットカードでキャッシングをしている方。やっぱりヒヤリングでは出てこなかったキャッシング履歴が、本審査でぽんと出てくると、「こういう方には融資できない」と金融機関に判断されてしまいます。
──消費者金融からの借り入れや、カードのキャッシングは、それがあるだけで一発アウトですか?
いいえ、決してそういうわけではありません。そうしたキャッシングであっても、返済すれば翌営業日にはCICなどの個人情報が“残高ゼロ”という表示になります。残高ゼロの状態になってから金融機関のローン審査を受ける場合は、基本的に問題になりません。
それと審査で大きなマイナス要因になるのが、「リボ払い」です。
──なぜリボ払いがマイナス要因になるのでしょう?
リボ払いの場合、最低でも利息を返してさえいれば、延滞の記録はつきません。でもそれだと、利息だけを払い続けてローンの残額が増えていくことにもなりかねません。金融機関はそういった「返済表が出ない=回数が決まっていない借り入れ」を、非常に問題視します。
──家や車のローンはどうなりますか?
家の購入に関しては、マイホームでも投資マンションでも、『35年間・420回払いで返済します』などと回数が決まっていて、返済計画がしっかりあります。車の場合でも、5年・60回払いなどと、返済の予定が決まっていますよね。どちらも毎月返す金額と返済の期間が決まっている=「返済表が出る借り入れ」なので、問題にはなりません。
もちろん、車や家のローンがあることで与信枠が足りなくなり、新たに投資マンションのローンを組めない状態となってしまうケースはあります。そのように明らかに与信枠が足りない場合は、事前相談の段階で金融機関から融資はできないと言われることもあります。
「債務整理」で5〜10年ローンを組めなくなる場合も
──これまでのローン審査で、印象的だった事例は?
以前、こんなびっくりする事例がありました。ヒヤリングの段階では、お客さまから借り入れは何もしていないと言われていたのでローン審査に進んだところ、金融機関から「こんなにマネーリテラシーが低い方には、とても融資できません」と言われてしまいました。信用情報を調べてみたところ、消費者金融からの借入、カードのキャッシング、リボ払いの履歴があり、いわば「フルコンボ」の状態だったとのことでした。
おそらくお客さまは「債務整理」をしたのでしょう。よくCMで「払いすぎた利息、取り戻せます」といったキャッチコピーが流れていますよね。実はああいった法律事務所を利用して実際に債務整理をすると、確かに払いすぎた利息は戻ってくるかもしれませんが、個人の信用情報に5〜10年程度データが残り、借り入れも新しくカードを作ることもできなくなってしまうケースが多いのです。
したがってこれから家や車を買う可能性がある方は、債務整理に関しては慎重に考えることをおすすめしたいです。
──やはりキャッシングやリボ払いの記録があると、かなり悪印象になってしまうのですね。
そうですね。とはいえキャッシングやリボ払いの記録があると100%ダメというわけでもありません。たとえばリボ払いをしている最中の人であっても、「この方は一部上場の一流企業にお勤めで、ボーナスも一回に100万円以上出るので、そのボーナスで一括返済するご予定とのことです。だから、今回は融資を実行していただけませんでしょうか」などと事情や返済計画をきちんと説明することで、通ることもあります。
やっぱり金融機関の方も人間ですし、できることなら融資を実行したいというのが本音なのではないでしょうか。
──最後に、これから不動産投資を始めるかもしれない読者に向け、何かメッセージをください。
やっぱり「お支払い」をきちんとしていただくことが大切になります。きちんとというのは、延滞せずに、毎月払い続けることです。それには、確実に払える分だけのローン組むようにすることが重要になるのかなと思います。
そういう意味では、ボーナスを当て込んでローンを組むのは、やめておいたほうがいいかもしれません。どんなにいいボーナスをもらっていても、今回のコロナのようなことが起こっていきなりボーナスがカットされることもありますよね。実際に今回、それで大変な思いをしている人がたくさんいます。
だから将来的に不動産投資ローンを組む可能性がある方は、「借り入れは、基本給だけで返済できる額に抑える」というのを、頭に入れておいていただきたいです。
営業担当者からの一方的な情報だけではなく、公平性のある不動産投資の正しい知識を持っていただきたいと考え、不動産投資情報のリアルな裏側を包み隠さずお伝えいたします。 NAVIVAでは、不動産投資に関する裏情報の配信のほか、不動産に関するチェックリストの配布や無料相談や各種セミナーの開催など、不動産投資をお考えの方にとって、お役立ちになるような情報をご提供しております。