不動産クラウドファンディング、REIT、ワンルーム投資、どれが得!?
今回の裏話
不動産投資というと、始めるには大きな資金が必要な印象があります。ところが、かなりの小資金で始められる不動産系投資商品も、実はあります。それが近年話題の「不動産投資型クラウドファンディング」と、不動産に特化した投資信託「REIT」、そして現物の不動産を扱う「ワンルームマンション投資」です。
3つとも小額の資金で始められる点で共通しますが、それぞれに一長一短があり、目的によって向き・不向きが大きく変わってきます。そこで今回は、3商品の特徴や強み・弱みを比較。あなたにとって一番有益な不動産系投資商品を、浮き彫りにします。
まずは3商品を項目別に比較した表をご紹介しましょう。
▼不動産投資型クラウドファンディング
①必要資金 | 1万円から始められる場合が多い |
②利回り | 3〜6%程度が中心 |
③運用の手間 | 出資後は特になし |
④投資期間・流動性 | 出資期間が決まっており、2年程度が多い |
⑤リスク | 元本割れ、運営会社の倒産など |
⑥強み | 商業施設やホテルなども投資対象に選べる |
▼REIT
①必要資金 | 3万円前後〜数十万円 |
②利回り | 3%〜4%が中心 |
③運用の手間 | 相場の確認や、売買の判断が必要 |
④投資期間・流動性 | いつでも売買が可能 |
⑤リスク | 運用会社の倒産、上場廃止など |
⑥強み | リスクが分散される |
▼ワンルームマンション投資(一括借上げ式)
①必要資金 | フルローンなら60前後で開始可能。毎月1万円程度の支払い |
②利回り | 2〜4%が一般的 |
③運用の手間 | 物件取得後は特になし |
④投資期間・流動性 | 数十年の長期運用が前提 |
⑤リスク | 家賃の減額や、一括借り上げ契約の解除 |
⑥強み | マンションという現物資産を残せる |
以下、各商品の特徴をザッと紹介していきます。
【不動産投資型クラウドファンディング】手間の割に高利回りも、運営元の精査が必要
不動産投資型クラウドファンディングは、ネット上で出資者を募集し、集まったお金を元手に運営会社が不動産投資を行うのが、一般的なビジネスモデルです。その不動産投資によって得られた収益が、出資者に分配されます。
扱う物件の種類は、運営会社によって大きく異なり、区分マンション、商業施設、ホテル、保育園、老人ホームと多岐にわたります。したがって、物件価格もピンキリですが、1口1万円程度から出資できる場合が多いのです。一般的な不動産投資ではなかなか買えない物件にも出資してコミットできるのが、不動産投資型クラウドファンディングの面白さです。
利回り(出資金に対する、1年間で受け取れる利益の割合)は3~6%程度が一般的。出資期間は、2年間程度のものが多いようです。もし利回り5%・出資期間2年のクラウドファンディングに100万円を出資したら、うまくいけば2年後に110万円になって戻ってくることになります。
ただ、基本的に規定の期間内は自由に解約や売却ができず、解約するには違約金が必要なことが一般的です。また、必ず想定の利回り通りに配当金が得られるとは限らず、元本割れや、運営会社の破綻により元金が戻らない可能性もなくはありません。
運用中の手間に関しては、3商品の中で最もかからないと言え、出資の申し込み以外にやらなくてはいけない作業は見当たりません。それをふまえると利回り3~6%というのは優秀ですが、新しい投資商品ということもあって信頼できない運営会社が混ざっている可能性が少なからずあるでしょう。したがって出資する際は、運営元の事業規模や実績をきちんと精査したいところです。
【REIT】いつでも売買できるのが魅力であり手間ともなる
REITとは「不動産投資信託」のことで、運営会社が投資家から資金を集めて複数の不動産に投資し、賃貸収入や不動産の売却利益を配当金として出資者に還元する金融商品のことです。
REITの各商品は証券取引所に上場されているため、取引所が開いている時間は常に自由に売買できます。また投資信託の一種だけに、一部の不動産で損失が出ても、そのマイナスは分散されます。そのようにリスクが分散される一方で、突出した利回りにもなかなかなりません。
投資先は上場されている商品から選ぶことになり、1口から購入可能です。1口の価格は数万円~数十万円の間であることがほとんどで、その程度の元手で複数の不動産投資にコミットできると考えると、お手頃でしょう。配当金の利回りは3%~4%のものが中心で、一般的は株式の配当金よりもやや高めと言われます。
運用中の手間に関しては、今回の3つの中では、ある意味一番大きいと言えます。なぜならREITは株式投資と同様、常に価格変動するからです。特に物件がオフィスやホテル、商業施設である場合、経済状況に大きく左右される場合もありまます。したがって、いくらリスクが分散されるとはいえ、基本的には相場をある程度チェックし続ける必要があるでしょう。局面によっては、売ったり買ったりの判断を迫られることになります。
とはいっても、主にやることはその程度のもので、商品をたくさん保有しない限りは、膨大な時間を要するようなことはないでしょう。
【ワンルームマンション投資(一括借上げ式)】実物の不動産だけでなく生命保険効果も得られる
ワンルームマンション投資の大きな特徴は、初めに元手をほとんどかけず、数十年後に賃貸用ワンルームというまとまった資産を手に入れられることです。
なぜ元手をほとんどかけないでOKかというと、金融機関からの融資を利用し、フルローンで物件を購入するからです。その場合、家賃収入からローン返済額と必要経費を引いた毎月の支払い額は1万円程度となるのが一般的で、35年ローンであればおおよそ400万円強を完済までに払い込むことになります。
一方、そうしてローンを完済した後には残債なしの投資用ワンルームマンションが手元に残り、以降は毎月数万円の家賃収入を得続けられます。ある程度立地の確かな物件であれば、年間100万円近くの家賃収入を得ることも可能です。またローンを申し込む際に加入する団体信用生命保険により、ローン返済期間中は“生命保険効果”が得られるのも、ならではの特徴です。
それと一括借上げ式の場合、空室や家賃滞納が起こっても家賃収入を受け取れ、かつ賃貸管理や建物管理の業務を管理会社に委託できます。代わりに家賃の10%程度の手数料を払う必要があり、それにより利回りは2~4%となることが一般的です。賃貸管理・建物管理を委託できるため、実物を扱う不動産投資でありながら、運用の手間はほとんどかかりません。
収益源が入居者からの家賃収入となるため、長く運用すればするほどトータルの収益が上がる点も、ワンルームマンション投資の特徴です。したがって投資期間に関しては、40年や50年といった長期運用が前提となります。ただ、途中で物件を売却することはもちろん可能です。
リスクとしては、将来の家賃収入(一括借上げ料)の低下や、一括借上げ契約が解約されることが挙げられます。そのリスクを下げるには、物件購入前の投資会社の選定や、設定賃料の吟味が重要になります。また弱みとしては、フルローンの恩恵を享受できるのが優良企業や有名企業、高年収者、公務員など、いわゆるローン属性が高い人たちに限られる点が挙げられます。
【まとめ】「お金に働かせる」型と「資産形成」型に分かれる
以上をふまえ、3つの投資商品を考察してみましょう。まず1つ言えるのが、不動産投資型クラウドファンディングは、利回りは良くても出資期間が2年程度であるため、資産がほとんどない状態から時間をかけて作っていく「資産形成」には向かないことです。10万円が2年間で11万円になったところで、決してまとまった資産にはなり得ません。
したがって1万円から参加できたとしても、むしろ「1000万円を投じ、2年後に1100万円にする」というような“お金にお金を稼がせる”投資法が向いていると言えるでしょう。あるいは最低出資額の低さを活かし、不動産投資の体験版と捉えて参加するのもいいでしょう。
対してワンルームマンション投資は、基本的にローン返済期間中はリターンを得られないため、「すぐにお金を増やしたい」という人には全くむきません。代わりに「ローン属性の高さ」と「時間」を利用して、「元手がほとんどない状態から、老後までにまとまった資産を築きたい」「“私的年金”を設けたい」という人には、これ以上ない投資法でしょう。つまりは、この中では最も「資産形成向けの商品」と言えます。
また3商品で唯一“保険効果”を得られる投資法なので、既に加入している保険を解約できる可能性もあります。
一方REITは、特に投資期間が決まっているわけではないので、長く持ち続けて資産形成を狙うこと、反対に大きな元手をドカンと短期的に投じることの両方が可能です。その点では、不動産投資型クラウドファンディングとワンルームマンション投資の、中間的存在と言えます。良く言えばいいとこ取りの、悪く言えばどっちつかずの投資法というわけです。
いずれにせよ、やはり大きくない出資金で、複数の不動産投資案件にコミットできるのは魅力的です。したがって、自分で本格的に不動産投資を始める前に不動産投資を勉強したい・体感したいという目的にも沿う投資法でしょう。
以上、今回は3つの「小額で始められる不動産系投資商品」を比較・検証しました。目的によってフィットするものはガラリと変わるので、ぜひ自身が「何をしたいのか」をあらためてハッキリさせた上で、ぴたりとハマる商品を選んでいただきたいです。
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